本図は、 嘉永05(1852)・02閏03 江戸・河原崎で上演された「妹背山女庭訓」の御殿の場の絵である。鱶七を八代目団十郎、お三輪を三代目嵐璃寛が勤めている。
天保の改革のあと、一番最初に出された役者絵はどれだろうか? アート・リサーチセンターには、 弘化3年11月顔見世の時の役者絵がある。 本図は、明らかに8代目市川団十郎の似顔となっている。
「車引」の舞台面は、江戸時代の顔見世狂言に必ず出ることになっていた、神社の回廊の場の道具を使っている。紅と青を基調とした濃い色合いで、いかにも江戸歌舞伎らしく感じる。しかも、「車引」の幕開で使われる鳴物は、これも顔見世の神社の場の幕開で使われるものと同じ「早神楽」である。