絵本は、現代では子ども向けというイメージが強いだろう。すでに江戸期には、子ども向けの絵本が出版されており、様々な変化を経て現在に至っている。そこでは、子どもの想像の幅を広がらせたり、言葉を覚えさせたりなど常に子どもへの影響を考え、趣向を凝らした内容が展開している。また西洋との接触がきっかけで子ども絵本はより多様なものになり、異文化の物語と日本の物語とが交差する時代も誕生したのである。今日の子ども絵本でも、芸人が描いた絵本が出版されたり、ある絵本作家が話題になっていたりと、子ども絵本は注目され続けている。ここでは、子ども絵本の歴史を追っていくとともに、今日の子ども絵本と江戸期の子ども絵本を比較し、共通点と相違点を解き明かしていくこととする。