C8 輸出入された子ども絵本

『竹取物語(Princess_Splendor, The wood-cutter's Daughter)』
編著者:鮮斎永濯(画) E. Rothesay Miller(訳)
書型:中本(縮緬本) 1冊
出版:明治22年(1889)
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcBK03-0397.

 明治中期からは、日本昔話を翻訳した子ども絵本(ちりめん本)を外国へ輸出する傾向がみられた。例として『竹取物語』が挙げられ、英訳は長老派宣教師だったエドワード・ローゼイ・ミラーが手がけた。表紙には光を発するかぐや姫が描かれており、他国の人々を魅了し印象付けたに違いない。
 さらに、西洋の子ども絵本も日本の読者が読めるように翻訳され、初めて翻訳されたのはドイツのヴィルヘルム・ブッシュによる『MAX UND MORITZ』という絵本で『WAMPAKU MONOGATARI』という題名で出版された。発行所は羅馬字会となっており、漢字や平仮名を廃止しローマ字を推進する活動をしていたため、この絵本もローマ字で翻訳されている。
 このように、西洋の子ども絵本と日本の子ども絵本、どちらも庶民が読めるようになり、時代は進んでいったのである。(浅)