C6 時事の取り込み

『ねこ鼠大友のまとり』
絵師:近藤清春
書型:中本 1冊(稀書複製会)
出版:享保12年(1727)
所蔵:立命館ARC(白樺文庫) 作品番号:shiBK03-0043.

 『ねこ鼠大友のまとり』は、浄瑠璃『大友真鳥』の"九州探題大友真鳥の謀反を高村正道・兼道父子が鎮めようとするが、最後には自分の運命を悟った真鳥が自分の首を兼道に与える"という筋書を、大友真鳥を猫、高松兼道を鼠に変えて、子ども絵本として描いたものである。
 このように江戸期では絵本の題材として浄瑠璃や歌舞伎の筋書を用いていた。しかし今日では、ドラマや映画など人物が演じているものを、絵本の題材として扱った例はないと思われる。ストーリーの複雑さや、著作権問題などが原因として挙げられ、今日ではあくまでもオリジナルで描かれている。(浅)