C3 擬人化

『竜宮曽我物語』
絵師:富川房信
書型:中本 2巻2冊
出版:明和8年(1771)
所蔵:舞鶴市糸井文庫 作品番号:02イ05.

 時代を問わず子ども絵本に共通する特徴の一つに「擬人化」がある。擬人化とは、動物・魚・植物などの人間以外のものを人物として描いた手法のことである。擬人化の早い例では、『鳥獣戯画』がよく例に取り上げられるが、鼠の嫁入りなど、子ども絵本がまさに擬人化のるつぼである。擬人化をすることによって感情移入をしやすくなったり、表現・想像の幅が広がったりする。
 この作品では、主に魚に擬人化されている。内容としては浦島太郎の夢中の出来事として、龍宮を舞台に曽我物語を展開するというもの。対面、助六、矢の根、草摺引、夜討など曽我の要素を豊富に盛込んだ作である。(栁a.)