C5 言葉遊び

『新ちくち』
作者:未詳
書型:中本 1冊
出版:享保15年(1730)頃
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcBK03-0056.

 現代の人々が言葉で遊ぶ習慣があるように江戸期にも言葉で遊ぶ習慣があった。それは子ども絵本にも取り入られており、子供が言葉を覚える手掛かりとなっていた。言葉遊びの1つに「地口」があり、地口とは世間でよく使われることわざや成句などに音の似た語句を当て、違う意味を持たせるという言葉遊びのことを指す。例として、赤本の『新ちくち』が挙げられ、ここでは歌舞伎の演目の「助六」を元にして「あげまきの鍬六」と当てられており、髪型が鍬になっている助六が描かれている。「あげまき」という言葉も助六の愛人となる遊女、揚巻が元になっている。また、この地口の子ども絵本よりもさらに難解な言葉遊びが描かれている絵本は、大人にも読まれていた。
 このように絵本を読んで楽しく言葉を覚えるという工夫は現代も昔も変わらないのである。(浅)