2007年11月 7日

火曜セミナー発表報告

第6回火曜セミナーの楠井による報告は、「外地」特に植民地時期の朝鮮における文化状況を、雑誌『国民文学』の分析から探るというものだった。報告の前半では、日本文化の浸透を、日本語教育の普及や内地からの雑誌移入量の増加という面から論じ、後半では「国民文学」という概念や文学者の活動に触れた。そして結論として雑誌研究の意義を強調し、今後の展開では日本語で刊行された雑誌の目録化とデータベース化を行いたいとした。

報告後のコメントでは、主に以下のような質問があった。
 ①当時日本の雑誌や大衆文化に親しんでいたのはどのような階層の人々か?
 ②朝鮮で日本語により刊行された雑誌には文学以外にどのようなものがあるか?
 ③データベース化とは具体的にどのような形態を考えているのか?
 ④文学以外のサブカルチャーに関する資料をどこまで取り入れるか?
 ⑤フルテキストで保存した場合、著作権の問題をどう処理するか?

これについて報告者は、以下のように応答した。
 ①全人口ではなく一部の階層だと考えられるが、その実態については調査中
 ②総督府関連の物、経済雑誌等の専門誌が多く存在。文学以外の芸術雑誌も視野に入れていきたい
 ③形態・目的など今後研究を進める中で具体化したい
 ④②とも関連するが、パフォーミングアーツなど大衆文化などの移入動向も参照したい
 ⑤③と関連させて検討
また、日本語雑誌の移入の増加に関して、実際の受容層は日本人ではないかという、資料の扱いに関する指摘もあった。