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2008年7月22日

研究会報告・横光利一『上海』と黒島傳治『武装せる市街』

第3回研究会報告
テクスト・横光利一『上海』
      黒島傳治『武装せる市街』(日本評論社 1930・11)
報告者・三上聡太氏 参加者・4名
今回の報告では、横光利一『上海』の先行研究を概観しながら、作者の外地体験と作品を単線的に結びつけてよいかどうか、という問題提起がなされた。
報告者は、まず修士論文であつかった黒島傳治の『武装せる市街』について、作品が単に作者の体験ばかりでなく、先行するテクストや伝聞など、様々な情報に基づいて構成されていることを指摘した。作者・黒島は1929年に帰国しているが、単行本が刊行されるのは一年後であり、その間にも執筆のための調査を続けていること、従って作者の外地認識も一様でなく執筆過程で揺れ動いているという指摘が興味深かった。
同様に横光の作品についても、作者の外地体験と作品成立までの過程を、本文の揺らぎも含めて精密に分析する必要があるという提言がなされた。

討議では、現在の文学研究が、注釈重視のために資料と本文の関係をおろそかにしがちであるという現状、データベースの発展により資料は手に入りやすくなったが、個々の資料の位置づけや先行研究を踏まえずに簡単に引用してしまう危険性があるということが議論された。

2008年7月22日

「外地」文学研究会(第3回)

次回研究会は、以下の予定です。
日時:7月30日(水)17:00~18:00
場所:アートリサーチセンター第2会議室
報告者:三上聡太氏
テキスト:黒島傳治『武装せる市街』(→青空文庫)・横光利一『上海』
      五.三〇惨案(済南事件)の記述の比較

2008年7月12日

植民地文化学会発表

本拠点のプロジェクトに関係するテーマで、下記の発表を行います。
 
・植民地文化学会研究発表会
日時:2008年7月12日(土)~13日(日)
場所:東京都江東区東大島文化センター 第1研究室
内容:「〈外地〉日本語文壇の形成と文学雑誌」楠井清文
 
詳細は植民地文化学会HP

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