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2009年1月28日
浮世絵マルチバンド撮影
NTTデータ橋本さんのご協力で、アートリサーチセンターにおいて浮世絵のマルチバンド撮影を行いました。
必要となる機材は通常のデジタルカメラ、PCと色マネージメント用モニタ、輝線の少ないスペクトルの照明、スペクトル測定器、6バンド撮影用フィルタ、色再現ソフトウェアなどです。まず一眼レフデジタルカメラで資料を撮影した後同じ機材に6バンドフィルタを装着し、もう一枚撮影するという手順で浮世絵の撮影を行いました。
マルチバンド撮影とは、R・G・Bの2倍、6バンドで資料を撮影することです。通常のデジタルカメラのセンサにはR・G・Bの3色のセンサがついていますが、特殊なフィルタでの撮影を足すことにより、通常の倍である6バンド

での撮影が可能になります。
メリットは何でしょうか。
そのひとつは従来の撮影の二倍の色情報を写しこむことができ、高い色再現性が可能になることです。
カメラの色域、記録できる色の範囲が広く、現在AdobeRGBは、sRGBに比べても遥かに広い範囲の再現領域を持ち、きめの細やかな色彩の表現がかなうといわれているがそれよりもはるかに広い色域を再現します。
もうひとつは6バンドで撮影する最大のメリットであり特徴は単なる色だけではなく、スペクトルというものを測定できるということです。
精度の高いスペクトルの推定をすることで「光に左右されない色の再現」ができ、様々な条件下での色再現を可能にします。つまり画像の画素自体が分光反射率の性格を持っているので例えば白熱灯の下で撮影したとしても太陽光や蛍光灯の下で見た色を再現することができるのです。
直接色の分光反射率を入力すればすぐに書き換えができる専用のソフトウェアをもちいれば、6バンドの明るさの情報は残したまま、そのまま色味成分だけをスペクトルで置き換えることが可能です。
Photoshopだと色を置き換えるだけになってしまうが、こちらのソフトでは反射率自体をスペクトルで置き換えてしまうのです。
初めに撮影された2枚の画像(Rawファイルを用います)は専用のソフトウェア上で統合され6バンドの画像となり、例えば画像のどこか一点を選択すれば、そこのスペクトルデータがワンクリックで即座に表示され編集することができます。また、分光計で図ったものをデータベース上から抽出し、置き換えてもやれます。濃淡の情報はそのまま、つまり明るさの成分は保持したままで色味成分のスペクトルだけを置き換えるという手法で、例えばそれによりオリジナルの作品の色味をかなり精度高く近づけることを容易に実現します。
スペクトルというものに注目した今回の撮影は目からうろこが落ちる思いをしました。実際に分光系で計測したスペクトルデータとマルチバンド撮影のデータの画像の画素値から推測したスペクトルの反射率との誤差は非常に小さいものでした。撮影と、その後の色反射率の調整などにまだ時間が必要ですが、この手法は正確さを問われる第一次資料をデジタルアーカイブしてゆく上で画期的であり、この分野での活用が期待できると感じました。
(日本文化研究班 RA1 齊藤 ちせ)
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