A2.4 風俗を写す鏡

絵本千代鏡』上巻
絵師:西川祐信
書型:半紙本 2巻2冊の内 上のみ
出版:天明7年(1787)
所蔵:立命館ARC  作品番号:arcBK02-0293.

 江戸時代になり出版技術が発展しより通俗的な内容も含まれた。そのような絵本を風俗絵本という。具体的には古典文学における和歌や女性の髪形や化粧、行われた行事など様々な風俗絵本が登場し、より大衆的なものになった。師宣の他にも西川祐信・喜多川歌麿などが製作に携わり、浮世絵にも及ぼしている。風俗絵本はストーリーを絵で説明するものと大きく異なり行事や人々の生活などの記録の側面もあった。つまり、様々な役割を絵本は担っていたのである。価値は安くはないが、人々は絵本を生活の中で用いていた。
 本作は、西川祐信による風俗絵本であり、釣りや手習いなど様々な風俗がこの本では描かれている。また、一つの構図の中にその行為と自然風景が同時に描かれている。(Y)