B3.4 上方の役者絵本

『絵本行
絵師:流光斎如圭
書型:半紙本 3巻3冊の内 1冊
出版:寛政6年(1794)
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcBK02-0018.

大阪の塩屋忠兵衛・塩屋喜助、京都の菊屋安兵衛、江戸の前川六左衛門という三都の版元の協力により出版された。実際に上演された舞台ではないもの、上演された舞台とは役者が異なるものも含むが、多くは安永から寛政にかけての実際の舞台面を描いている。安永7年(1778)『絵本続舞台扇』以降、上方での役者絵本は役者の半身像や全身像のみが描かれることが多かったが、この作品では舞台面が描かれることが特徴である。
この作品を手掛けた流光斎如圭は上方浮世絵の祖とされ、上方での役者絵の方式を確立した。

上方では、江戸で人気のあった明和7年(1770)『絵本舞台扇』の役者名や紋、顔を改竄した『絵本続舞台扇』が安永7年(1778)に出版されるなど、江戸の絵本に影響を受け、その後安永から文化年間にかけては上方独自の役者絵本の出版が盛んになった。しかしその後、役者の姿絵を描いた一枚摺り錦絵の出現や絵入根本の発展により、上方での役者絵本出版は衰えていく。(I)