B5.2 吉原風俗
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『絵本時世粧』 坤
著者:式亭三馬(作) 歌川豊国(画) 山口清蔵(彫)
書型:半紙本 2巻2冊
出版:享和2年(1802)
所蔵:大英博物館 作品番号:JH194-2江戸の庶民にとって吉原は切っても切り離せない関係にあった。しかし、密接な関係ではあったが、その存在ゆえに吉原は庶民の生活の場とは隔離されていた。これは言い換えれば、隔離されたからこそ独自の風俗が生まれたともいえるのではないだろうか。風俗は、職人風俗や年中行事の風俗のように、ある特定のものと組み合わさることで生まれる文化のようなものだと考えてもよいだろう。
ここに展示した『絵本時世粧』は吉原の日々の様子がその人物の役割(名前)とともに描かれている。一方、喜多川歌麿の『吉原青楼年中行事』(参考画像として下部にあり)には、仲の町花盛りの図や餅つきの図など、解説と一緒に時間軸に沿って吉原の遊女たちや、時にはそこに訪れる客とともに生き生きと描かれている。現在、元吉原の資料は極めて少ないが、新吉原の資料は夥しいほどのものがある。つまりその数が表すほどに、吉原と人々は深い関わりがあり、絵師もまた題材として取り入れる価値を見出していたのである。(n)【展示作品】
近世日本風俗絵本集成 昭和54年の複製本【参考作品】
『吉原青楼年中行事』 上巻
編著者:喜多川歌麿
書型:半紙本 2巻2冊の内1冊
出版:享和4年(1804)
所蔵:Ebi(個人) 作品番号:Ebi0584-1