B5.1 女性の風俗

『百人女郎品定』 上巻
絵師:西川祐信
書型:大本 2巻2冊
出版:享保8年(1723)
所蔵:大英博物館 作品番号:JH070.

 西川祐信は上方で活躍した風俗絵師である。彼の美人画の描き方は風俗の描き方にも表れている。彼について特筆したいのは、作品に表れる服飾意匠の高さである。生前出版された本には小袖雛形本の『西川ひな形』や『正徳ひな形』がある。そこには衣装に描かれるものとして植物では桔梗やあざみ、動物では千鳥が描かれていた。その中でも特に「菊」、「水」、「梅」の3種類は多く描かれていた。ここに展示した『百人女郎品定』は、女帝から百姓までのあらゆる階層の衣装を人物と共に描いている。これらのことから彼は、自身の風俗絵本製作に対して、衣装の表現を大切にしていたことがわかる。
 さらにこの本が面白いのは、本展示会の参考展示として出した「風俗絵本」との比較である。この本には、『百人女郎品定』を詳説に模した絵が数点あり、模しただけではなく表情や構図、着物のデザインも描きかえられている部分がある。また、『百人女郎品定』には描かれていない絵もこの作中にあり、西川祐信のいくつかの本から抜粋されていることがわかる。ぜひ画像を拡大してその違いを見比べていただきたい。(n)

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