D4 漢籍の絵本化
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『新編水滸画伝』初編巻八
編著者:高井蘭山(訳) 葛飾北斎(画)
書型:半紙本 初編10巻11冊・2~9編各10巻10冊
出版:文化4年(1807)・文政6年(1823)求版
所蔵:立命館ARC 作品番号:hayBK02-0039.中国の白話小説は基本的に文字を読む「読本」であり、絵は挿絵としての付録であった。対して日本の小説は絵を見ることに重きを置いている。そのため中国の文献は日本に輸入される際四つの段階に分けることができる。
一段階目は、中国でできた本そのものを輸入する「原書」
二段回目は、中国の本そのものを日本で刻して印行する「和刻」
三段階目は、中国語を日本語に訳した「翻訳」
四段階目は、中国の小説を日本語の小説に仕立て直す「翻案」
一~三段階まではほとんど中国小説の原型をとどめているため、文化の違いによる挿絵や内容の違和感が大きい。それを大筋の内容を変えず日本らしくアレンジしたものが「翻案」である。
ところが、本書の場合、本文は、第三段階にありながら、北斎の挿絵を豊富に入れることにより、原作を越えるほどの迫力と読者の理解を引出すことに成功している。絵本の勝利と言えるだろう。(高a.)