A2.1 絵巻

『十二月巻』 上巻
絵師:未詳
書型:巻子 2巻
成立:元禄年間(1700)頃
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcHS03-0004-01.

 絵本展においてなぜ絵巻を取り扱うのは絵巻は絵本の内容をもとになったためである。初期の絵本は絵師の教科書である絵手本中心で、絵巻において絵物語、説話、伝記、寺社の縁起、神仏の霊験、年中行事などが扱われる。しかし当初、絵巻は高級であり、読者も非常に限られていた。室町時代に読者層は広がるが、奈良絵本を契機に絵巻の分野が絵本へと移動し、絵本が絵手本と通俗的なもの二種類になるのである。
 この絵巻物は、二巻で一年間の京都の風俗を中心に、月ごとの行事を描いたものである。絵本においても風俗を月ごとに記録した風俗絵本が存在している。(Y)