F2.2江戸の本屋

『東海道名所図画 6巻』
著者・絵師:龝里籬嶌
書型:中本、6巻
出版:寛政9年(1797)
出版者:小林新兵衛
所蔵:国立国会デジタルコレクション 作品番号:2559319


江戸時代の本屋の仕事は本を出版するだけでなく、自店の本を卸売販売しながらも他店の出版物を含めた新刊書の小売のほか、古本の売買から貸本屋の兼業、版木の売買まで行う、いわば書籍の総合商社的存在であった。つまり、製作の販売の記事でも述べていたと思うが、今日でいう販売・取次・小売店・古書店すべてを一軒で行っていたのである。よって、江戸においての大手の本屋は一営業部門を指すのである。

【店頭風景】

当時の本屋というのは、必ずと言っていいほど「出し看板」といわれた大きな看板の役割をする箱を店の前に置いた。その箱には小さい穴がくりぬいてあり、道行く人がそこに紙屑を捨てていく。その紙屑はすき返されて再生紙となる。また、仲間制度があった時代には「本屋仲間」というものがあり、そこに所属していなければ「草双紙屋」などと店頭に看板を出すことは禁じられていた。(ymd)