F1.7製本作業③表紙掛けと綴じ、題簽

『的中地元問屋2巻』
著者・絵師:十返舎一九
書型:中本、2冊
出版:享和2年(1802)
出版者:村田屋次郎兵衛
所蔵:国立国会ジタルコレクション 作品番号:2537597


製作表紙掛け.gif

2537597


<表紙掛け
下綴の次は冊子上の摺本に表紙を掛ける。表紙掛は子供の仕事であった。なぜ子供にこの作業をさせていたかは不明である。表紙掛けの体的な内容しては、表紙の糊付けである。まず表側の表紙を伏せて、四方とも中身より1.52センチ大きく作っておく。この紙を裏返しにして一、二ヶ所に糊を少しつけ、四方の空きを等分にして中身を置く。ただし、のどと呼ばれる綴じる側を開際の余裕を見込み、3ミリほど幅を広くとっておく。上物の場合、裏まで同じ紙を使用するが、普通この部分に良い紙を使うのは勿体ないため、摺損じの紙などを継ぎ足す。折る際はまず、表紙の出っ張りを手の平で下から上へこき上げ、へらで折り目に筋をつけながらノド・天・罫下・小口の順に中へ折り込む。角の折り込み方には、並がけという普通の表紙と、上めがけという上物の二通りがある。最後に、のどと小口の二方だけ、表紙と中身の間に糊をつけて貼り合わせる。裏側の表紙も同様に行う。


<綴じと題簽>
綴じの準備製作綴じ.gifとして、まず「目打ち」という作業をする。具体的には綴じ糸を通す穴を開ける。丁合から目打ちまでは男の職人の仕事で、一人が通して行うが、綴じは女の仕事である。和本の綴じ方には「四つ目綴じ」「康煕綴じ」など数種類あるが、草双紙の場合は代表的な四つ目綴じの方法をとっている。四つ目綴じは、四つ目打ちをするからこのように呼ばれる。また「袋綴じ」と呼ばれる綴じの場合、紙を裁ち切ることで絵が切れてしまう。これを補うため、経本などでお馴染みの「折本」の方法をとると絵が一枚絵のように繋がる。綴じが終わると、最後に題簽を貼る。ものによっては、内容の要目を示す、せいご貼というものを貼る場合もある。また、最後の題簽や、袋をかける作業や帙におさめる仕上げの仕事は、再び男がする。 (野)