B4.2 名所絵本

『東海道風景図会』 後編下
絵師:歌川広重〈1〉
書型:中本 2編4巻4冊
出版:嘉永4年(1851)
所蔵:立命館ARC(藤井永観文庫) 作品番号:eik2-0-62.

 名所記のような地図とそれに基づく道中案内が主な内容であった地誌から、より名所というものが詳しく記述され、絵本というジャンルに近づいてきた名所図会があった。これで、名所絵本と呼ばれるジャンルの歴史的な流れは掴めたであろう。さらにこの流れは明治になっても受け継がれている。しかし、『都名所図会』の時点では絵によって本があるのではなく、文章に対しての挿絵としての機能が強かったため、まだ絵本の概念とは少々異なる点が見受けられた。
 ここに展示している『東海道風景図会』は、図会という題がついているものの、それまでにあった名所の説明や案内などの文字の部分はほとんどない。そのため地誌といった側面は伺えない。つまり、文字ではなく絵によって本を読み進めることができるため、この形をもって名所絵本と示すことができる。(n)