B1.6 絵本史上最大の作家葛飾北斎の活躍
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『北斎漫画』 四編
絵師:葛飾北斎
書型:半紙本 15巻15冊
出版:文化13年(1816)
所蔵:立命館大学図書館西園寺文庫 作品番号:SB4741.絵本史上最大の作家と称されるのが葛飾北斎である。葛飾北斎の作品の中で最も有名なものの一つが『北斎漫画』であり、これは戯画本的要素をはらむと同時に絵手本的な側面も持っている。『北斎漫画』については全15巻を大別すると1,3,8-12,15編が戯画本の性格が強く、2,4-7,13,14編が絵手本の性質を帯びていると指摘されている。
ここに紹介する『北斎漫画』4編は絵手本的な性格が強いものであり、例えばここでは様々な舟やそれに乗る人々の姿が描かれる。また北斎の絵手本として特徴的な物に、『略画早指南』がある。これは下に紹介するように簡単な図形などをもとに輪郭をつくり描く手法を教えるものであり、絵手本としての性質を持つものである。この『略画早指南』以降略画の絵手本の刊行が活発になったことからもその人気ぶりが窺える。北斎の頃になると絵手本としての絵本は風俗的な要素もはらむものになり、また地位のある場所に限られず、むしろ庶民的なものとして大衆に親しまれるものになっていた。(戸)【参考作品】
『略画早指南』
絵師:葛飾北斎
書型:半紙本 3巻1冊
出版:文化9年(1812)
所蔵:大英博物館 所蔵番号:JH425-01