B1.5 デザインの見本

『諸職画鏡』
絵師:北尾政美 
書型:大本 1冊
出版:寛政6年(1794)
所蔵:立命館ARC(藤井永観文庫) 作品番号:eik2-0-67.

享保年間以降「絵本」を冠する作品が盛んに登場するようになり、またこの時期の絵本は機能が拡大し、絵だけでも楽しむことができるようになり、もはやその需要層は地位あるところに限ったものではなくなっていた。この頃見られるそのような性質の絵本としては、諸職人に向けた一種のデザインのネタ帳のようなものがある。ここに紹介する『諸職画鑑』は題名の示す通り諸職人に向けたデザインの手本であり、凡例にも大和絵の流れを引く絵手本や、画譜では日用品に描くような絵の手本として適していないため、代わるものとして本書を刊行した旨が述べられている。確かに様々な画題やちょっとした絵がふんだんに描かれており、ここに見える七福神のような日用品に取り入れるに好まれたであろう絵も多くみられる。(戸)