B2.6 絵本太閤記の衝撃

絵本太閤記』巻一
編著者:岡田玉山
書型:半紙本 84冊
出版:寛政9~享和2年(1797-1802)
所蔵:立命館ARC  作品番号:arcBK02-0122-01.

 絵本太閤記は、江戸時代の絵本において人気がすさまじかった書物の一つだがその名の指す通り、内容が秀吉の半生を描いたものであるため幕府によって規制される。しかし、まったく同じ図で弁慶を主人公にした書物が多く出回るようになる。そこには作者と読者の間の暗黙の了解ともいえる関係が発生しているのである。これは、『絵本太閤記』が広く出回ったからこそ出来た手法である。端的に言えば、同じ絵の構成で中の人間を秀吉から弁慶に変えたのである。つまり、書いた人間や読んだ人間にとってはその絵は秀吉の絵と認識されるが、そこには間違いなく弁慶または鬼若丸と書いてあるのである。同じ構図だと認識させるその特性は絵と文章で構成される絵本ならではでないだろうか。(Y)