2011年2月28日
からかみ作成現場の見学をおこないました
1月29日と2月19日、京都工芸プロジェクトでの調査活動一環で、からかみ作成の工程の見学と調査を、株式会社丸二の本城武男氏の工房で行いました。
版木によるからかみ製作と、型友禅と類似した点のある「置き上げ」(型紙使用)の技法の製作工程を記録させていただいたほか、京からかみの特色や現状についてご教示いただきました。
ご協力ありがとうございます。
2011年2月28日
2011年冬季整理作業
本学所蔵の友禅図案・絵摺り資料の整理を木立研究室で実施しました。2010年夏季の博物館実習で整理作業に参加してくれた学生さんを中心に、資料の番号付け、補修などの撮影前の準備、デジタルカメラでの撮影作業などを2月1日から11日の約2週間実施しました。
今回の整理・調査の結果は、今後の調査活動にも反映されます。
2011年1月 7日
ミニ企画展「廃棄された公文書からみた徴兵の実態」
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年最初の木立研究室の活動として、立命館大学国際平和ミュージアムでミニ企画展をおこないます。今回は友禅図案に添付された史料のうちから、明治~大正期の役所で作成された文書を中心にとりあげ、廃棄された公文書から伺い知れる徴兵などの実態について紹介しています。
◆立命館大学国際平和ミュージアム第61回ミニ企画展◆
「廃棄された公文書からみた徴兵の実態」
会 期 : 2011年1月12日(水)~1月30日(日)
*休館日:月曜日
会 場 : 立命館大学国際平和ミュージアム2階 ミニ企画展示室
開館時間 : 9:30~16:30(入館は16:00まで)
入 館 料 : 大人400円(350円)、中・高生300円(250円)、小学生200円(150円)
※( )内は20名以上の団体料金主 催 :文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」(立命館大学)京都文化研究班木立研究室
共 催 : 立命館大学国際平和ミュージアム
多数の御来場をお待ちいたしております。
2010年10月30日
道仙化学製陶所窯跡および浅見五郎助窯の発掘調査


9月4日から9月16日まで道仙化学製陶所窯跡第5次発掘調査を行いました。本年は隣接する浅見五郎助窯との間に小トレンチを設定し、二つの窯の前後関係などを検討する目的で行いました。文献史料では明治末年以降に存在が確認されますが、下層ではそれより古い可能性が高いゴミ穴が検出されました。このゴミ穴の中には「旭亭」の刻印をもつ陶磁器類をはじめ、幕末から明治にかけての陶磁器と窯関連遺物が出土しています。遺物の詳細な検討など、残された課題は多いのですが、窯が現在の形に配置されたのは明治末から昭和初期のことのようです。それ以前にも窯は存在したようですが、下層ゴミ穴の存在から別地点に立地していた可能性が高くなりました。また、さらに下層からは14世紀代に遡る土師器が出土し、中世遺跡としても注目されます。
発掘調査にあたっては、地主である楽只苑会長湯浅士郎氏の全面的なご協力を得てきましたが、残念ながら発掘調査終了後にお亡くなりになりました。五条坂の将来を考え、登り窯の調査・保存・整備にご理解頂き、貴重な場を与えて頂いたことに深く感謝するとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
また、本年も浅見五郎助氏には貴重な「ゴウ」(匣鉢)をはじめとする貴重な京焼関連民具をご提供頂き、合わせて登り窯の写真撮影をさせて頂きました。深く感謝いたします。
浅見氏から提供頂いた亀板・桟板・カタギ箱については8月末に行った文学部学芸員実習において計測を行っています。明治後半から昭和初期にかけての興味深い変遷が明らかになっています。今回ご提供頂いた「ゴウ」はそうした木製の道具とは異なり、消耗が早い道具であるため、登り窯の使用を停止した昭和30年代末~40年前後の時期のものだと思われます。こうした京焼生産に関わる道具類は発掘調査でも廃棄されることが多く、民具の収集も全国的にも珍しいものです。貴重な歴史資料として研究・活用したいと考えています。
2010年9月29日
2010 年夏期学芸員課程実習
木立研究室で、2010 年夏期学芸員課程実習を実施しました。実習では、本学所蔵の友禅資料の整理作業と、道仙化学製陶所窯跡発掘調査での資料調査をおこないました。
文学部を中心に2期、各回15人程度の学生さんが参加して作業にあたりました。今回の実習での整理・調査の結果は、今後の調査活動にも反映されます。
2010年6月29日
研究会を開催します
7月12日より開始の展覧会『立命館大学アート・リサーチセンター新収蔵資料展-友禅下絵と乾板写真から-』に関連しまして、
◆◆研究会「うつしだされる島原―新出資料と花街研究」◆◆
2010年7月15日(木)18:00~20:00
於:アート・リサーチセンター多目的室(参加無料)
【概要】
1)ごあいさつ
2)立命館所蔵資料の紹介
彬子女王(拠点PD)、山本真紗子(拠点PD):各プロジェクトの紹介・資料解説
岡本隆明(拠点PD):立命館所蔵資料の公開と閲覧システムについて
3)研究発表1
松田有紀子(日本学術振興会特別研究員(立命館大学大学院先端総合学術研究科))「近代京都の花街運営」
4)研究発表2
加藤政洋(立命館大学文学部准教授)「創られる景観と伝統―明治期・島原遊廓のまちづくりをめぐって―」
5)おわりに
*本研究会は主として学内研究者向けとなります。
事前申込制ですので、参加ご希望の方は
以下の項目をご記入の上、メールにてお申し込みください。
件名:7月15日研究会申し込み
ご所属:
お名前:
問合せ・申込先
E-mail: arc-jimu■arc.ritsumei.ac.jp(■
2009年12月21日
「京焼」五条坂 登り窯再興シンポジウム
12月20日、ホテルグラン京都清水の会議室で開催された『「京焼」五条坂 登り窯再興シンポジウム』で木立が「五条坂の登り窯と発掘調査」と題して成果の一部を報告しました。
プログラムは下記の通りです。
[五条坂登り窯見学会]
末広直道氏(藤平陶芸有限会社)による登り窯解説
[シンポジウム]
基調講演 中ノ堂一信(京都造形芸術大学)「五条坂の窯 -古今-」
報告1 岡佳子(大手前大学)「江戸時代の清水・五条坂のやきもの」
報告2 木立雅朗(立命館大学)「五条坂の登り窯と発掘調査」
パネルディスカッション 岡佳子、河井透(陶芸家・京都陶磁器協同組合連合会会長)、木立雅朗、若林広幸(建築家)、モデレーター・進行:近藤高弘(陶・造形美術家)
主催:京焼・五条坂登り窯再興準備委員会、第26回国民文化祭京都府実行委員会、文化庁
後援:京都市、京都市教育委員会
昨年、藤平陶芸の登り窯が京都市の学校用地として購入され、登り窯の保存活用に新たな道が開かれましたが、このシンポジウムはその登り窯を今後どうやって活用していくのかを検討するため、京焼の中堅陶工の有志の皆さんが結集して開催されました。今後も検討・研究を続けていくためのはじまりとして位置づけられているようです。登り窯が公的に保存されること、京焼関係者がこのような形で協力することは、これまでになかった新しい動きであり、その活動に京都市も協力的です。


当日は会場が一杯になる盛況ぶりで、登り窯の今後の活用法に対して熱心に討議されました。登り窯の歴史価値は、研究だけにとどまらず、教育・観光・産業育成のためにも、極めて有効なものとして期待されていることがわかりました。なお、地元にはかつての公害問題の傷跡が残っており、登り窯の活用方法をめぐって住民との話し合いの場をもつことを提言されました。また、建築学の立場からも問題提起がなされ、ようやく検討がはじまったという印象を持ちました。来年以降の研究会でさらに議論が深まることが期待されます。
2009年10月31日
11月7日 道仙化学製陶所第4次発掘調査現地説明会を開催します
道仙化学製陶所の第4次発掘調査の現地説明会を下記のように開催します。
昨年度、掘り残した部分もすべて発掘し、ようやく、登り窯の全貌が明らかになりました。
2009年10月 1日
特別展示 京焼の萌芽
京都市考古資料館で「特別展示 京焼の萌芽」展が開催されました。展示期間は2009年3月1日から9月30日までで、昨日、好評のうちに終了しました。
京都市内から出土する初期京焼は、その後の京焼や列島各地の焼き物に大きな影響を与えました。初期京焼をこれほど展示する機会ははじめてで、しかも、最新の成果も盛り込まれていました。初期京焼研究にとっても、近世の日本陶磁器研究にとっても、重要な展示だと思います。
この展示では、鳴滝乾山窯跡で発掘された資料とともに、本拠点で製作した鳴滝乾山窯跡出土「金炭窯」の復原模型も展示されました。この復原窯は、初期京焼の窯につながると想定されており、生産の実態や技術系譜を示すものとして注目されました。


2009年9月22日
道仙化学製陶所第4次発掘調査を行いました
京都市五条坂・道仙化学製陶所窯跡の第4次発掘調査を行いました。この窯跡は、理化学磁器(化学陶器)を焼成した登り窯で、1962(昭和37)年に操業を停止しています。操業停止後、危険防止地のために意図的に崩したこともありますが、2005年の調査直前の状態は、まさしく「遺跡」状態でした。4次に渡る調査で、6部屋ある京式登り窯であることを確認しました。理化学磁器という特殊な製品を焼成していたにも関わらず、窯構造は通常の京式窯と全く変わることがありませんでした。しかも、隣家では京式陶器窯が隣接しており、通常の京焼と完全に共存していました。
従来の京焼研究は、美術史・文化史中心でしたが、民俗調査や考古学的調査は不十分でした。また、こう

した理化学磁器や民芸など、京焼の一般的イメージから離れたものは軽視されてきたと思います。こうした「特殊な」製品も京焼の一部として認識することで、京都の歴史がさらに深まると考えています。
なお、この発掘調査は、京都建築専門学校の佐野春仁氏が主導する「登り窯を保存活用する会」の活動に呼応したものであり、考古学的な調査だけが目的ではありません。その成果を如何に活用するかも、今後の重要な目的になります。大まかな調査は終了しましたが、今後、さらに精査を行い、如何に整備するかという視点も伴いながら、調査を継続していく予定です。
発掘調査にあたっては、地主である楽只苑と

湯浅士郎氏、覆屋などを作って頂いた京都建築専門学校と佐野春仁氏のご協力・ご支援を頂きました。また、周辺の方々からも多大なご協力を頂き、道仙化学製陶所で使用していた亀板などの民具資料も収集することができました。
五条坂の町屋の奥、観光客が覗き見する、細く長い路地の突き当たりという、不思議で素敵な空間で過ごした暑い夏の日々は、決して忘れることのできない貴重な思い出になりました。「考古学」や「発掘調査」という概念からは想像できない希少価値のある調査でした。参加させて頂いた学生諸君にとっても、二度とない貴重な人生経験になったと思います。記して感謝の意を表します。
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