D6 節用集

『改正増補 江戸大節用海内蔵』乾
編者:高井蘭山(編)中村経年(補輯)菊川英山(画)
判型:大本 2巻2冊
出版:文久2年(1862)
所蔵:立命館ARC 資料番号:hayBK01-0027.

 節用集とは一般に室町時代の国語辞書から始まり、江戸時代を経て明治時代まで用いられた世俗用の辞書である。初期はいずれも漢字を本文とし、その右側に仮名で読み方を付し、それぞれに漢文で語義を注したもので辞書的な意味合いのみを有していた。これを「古本節用集」として総称する。江戸時代に入ると、その内容は豊富になり、節用集は風俗百科辞典となった。そこには、図解として、挿絵が入るようになり、部分的に抜粋すれば、まさに「絵本」といえるほど、絵が中心となっているセクションも見受けられるようになる。
 本書は、乾坤の2巻に分かれ、乾は、生活百科、坤は、常用字典という構成である。歴史・風俗・文学・地理の様々な情報、読書き算術、作法などの実用的な知識を広く記した百科事典である。

 この見開き丁は、「本朝百将伝」という題目があり、武将の肖像と小伝を記し、絵伝として十分なボリュームを持っている。ここだけ見ると、武者絵本のように見えるのである。このような「人物絵揃え」は、たとえば『戯場訓蒙図彙』にも役者絵本とも言えるセクションがあり、節用事典には欠かせない内容であったことがわかる。(a.)
作品番号【参考図】
『戯場訓蒙図彙』巻七
絵師:豊国〈1〉
判型:8巻5冊 
出版:享和3年(1803)
所蔵:立命館ARC 資料番号:arcBK02-0001.