B2.0 武者絵本とは

 武者絵本や武者絵のルーツは、絵馬に描かれた武者の姿であるという説がある。出版された武者絵は、菱川師宣が描いた、曽我物語や頼光物語がその嚆矢とされるが、師宣は、『大和武者絵』(延宝8年(1680))のような絵本ですでに武者づくしの絵を描いている。一方、子ども絵本にも、「つくし」ものの中で武者や一代記がすでに描かれていたのも忘れるわけには行かない。武者絵は、絵手本の中でも、個別の武者が画題として取り上げられていたが、次第に武者のみを取り上げた絵本が人気を得ていく。それに拍車をかけたのが、国芳の錦絵「通俗水滸伝」シリーズである。
 義経や頼光らの英雄を一代記で描く草双紙や「一代記図会」の流行もあって、絵本にも一代記が増えていく。豊臣秀吉の一代記である読本『絵本太閤記』は、絵本や浮世絵の世界に大きな影響を及ぼした。明治期になっても、これらの絵本は引継がれていくのである。(a.)

【参考資料】
『扁額軌範』 巻一
編著者:櫟亭琴魚(序)、合川珉和(画)、北川春成(画)
書型:大本 5巻5冊
出版:文政2年(1819)
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcBK01-0012-01.