- 現代に伝わる板木
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ごあいさつ
文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」拠点(立命館大学)日本文化研究班・赤間研究室では、奈良大学文学部・永井一彰教授との共同研究において、板木資料の情報共有化をめざし、奈良大学所蔵板木約5,000点のデジタルアーカイブ構築と公開を行ってきました。またこれらの板木を企画展「近世版木展」(2009年2月~3月)において展示し、板木とはどのようなものか、板木から何が分かるのかを問うてきました。
今回の展覧会は「近世版木展」の続編として開催するものです。今回の展覧会では、前回の問いかけを引き継ぎつつ、展示対象を日本文化研究班が調査に着手した複数のコレクションに拡大します。現代までに多くの板木が逸失してしまったことは事実ですが、板木の保存に関わられている人々の努力により、質・量ともに日本文化研究に資する板木が存外に多く現代に伝えられています。本展覧会の開催により、板木の現存が周知され、板木という研究資料が照射されることになれば幸いに存じます。
また本展覧会は、今年度、アート・リサーチセンターに収蔵された摺師・五代高橋新治郎旧蔵板木のお披露目も兼ねております。
本展覧会を実施するにあたり、貴重な資料および情報をご提供下さいました関係諸機関、諸氏に深甚の謝意を表します。
No.01~02 火鉢(正信偈自得解 板木)、未詳音曲集
No.01 火鉢(正信偈自得解 板木) 個人所蔵
縦34.2×横34.2×深さ23.5cm
No.02 未詳音曲集 個人所蔵
丁付:六十一、六十四、六十二、六十三
縦15.9×横59.0×厚1.7cm
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高野版
高野版とは、高野山上で刊行された本を指す。その内容はもちろん真言密教関連書が主である。現存最古の高野版は建長5年(1253)刊『三教指帰』であるが、その歴史は平安末期にさかのぼるともいわれる。また、少なくとも江戸時代末期まではさかんに開板が行われており、日本の出版史・印刷史上、極めて重要な位置を占める資料である。高野山特産の高野紙と呼ばれる厚手の楮紙を用いていること、両面摺りの紙を折って各葉を重ね、葉の変り目のノド側を糊付けして冊子体裁とした粘葉装と呼ばれる装幀、質朴な文字・印刷などが高野版の特色としてあげられるが、江戸時代以降は袋綴じの板本もさかんに刊行された。高野山上には約6000枚に及ぶ高野版の板木が現存しており、現在それらは重要文化財に指定されている。今回展示するのは、奈良大学博物館所蔵の板木である。これらは、元は高野山上にあったと思われる板木で、おそらく第2次世界大戦後しばらく経った後、板木が文化財と見なされる以前に、資材として市井に渡ったものと思われる。その後それらは古書籍商の手に渡り、最終的に奈良大学に収蔵されるに至った。高野版には学侶系の板元による寺版、行人系の板元による町版(まちはん)の2種類が存在するが、奈良大学博物館が所蔵する486枚の板木は、後者に分類されると考えられるもので、いずれも江戸時代以降の成立である。
No.04 宿曜経
No.04A 宿曜経 奈良大学博物館所蔵(K0131)
享保21年(1736
巻:序 丁付:乙、二、三、四
縦20.2×横77.4×厚1.7cm
No.04B 宿曜経 立命館ARC所蔵(arcBK01-0086)
享保21年(1736)
大本2冊
No.05 魚山私鈔
No.05A 魚山私鈔 奈良大学博物館所蔵(K0029)
寛保3年(1743)
巻:上 丁付:一、二、三、四
縦25.4×横81.2×厚1.9cm
No.05B 魚山私鈔 立命館ARC所蔵(arcBK01-0091)
寛保3年(1743)
巻:上 丁付:一オ
大本1冊
No.07 野山名霊集
No.07A 野山名霊集 奈良大学博物館所蔵(K0080)
宝暦2年(1753)
巻:巻第三 丁付:卅三、卅六、卅四、卅五
縦22.3×横86.4×厚2.3cm
No.07B 野山名霊集 奈良大学博物館所蔵(K0070)
宝暦2年(1753)
巻:巻第二 丁付:十三、十四、十五、十六
縦22.1×横87.1×厚2.4cm
No.07C 野山名霊集 立命館ARC(桜井コレクション)所蔵(sakBK01-0076)
宝暦2年(1753)
大本5冊
No.08 紙証文板木
No.08A 紙証文板木 奈良大学博物館所蔵(K0229)
縦33.6×横39.3×厚2.5cm
No.08B 紙証文板木 奈良大学博物館所蔵(K0223)
縦34.2×横21.4×厚1.9cm
No.08C 紙証文板木 奈良大学博物館所蔵(K0224)
縦34.8×横22.2×厚1.5cm