●清経(きよつね)
[あらすじ]
源平の戦のため、西国へ都落ちした夫清経の帰りを、妻は居宅にて一人で寂しく待ちわびていた。そこへ平重盛の三男である清経の家臣、粟津三郎が訪れる。粟津は清経入水の経緯を妻に語り、船中に清経によって残されていた遺髪を手渡す。妻は自分をおいていってしまったことへの恨みを見せて、栗津に遺髪を手向け返す。
悲しさに嘆き泣き伏し、転た寝していた妻の夢の中に清経の霊がゆっくりと現れる。妻は戦死や病死でもなくて、何故自分を置き去りにして命を断ったのか恨み嘆き、清経はその動機を話すから恨みを晴らしてほしいという。
清経は敵兵に追われ神仏にもすがったが、無益な戦いに疑問を抱き入水を決意した。そして舳先に立ち、愛用の笛を吹き、今様を歌いつつ南無阿弥陀仏を唱えて入水した。最後に清経の霊は修羅道に落ち苦しんでいたが念仏によって成仏することができた。
源平の戦のため、西国へ都落ちした夫清経の帰りを、妻は居宅にて一人で寂しく待ちわびていた。そこへ平重盛の三男である清経の家臣、粟津三郎が訪れる。粟津は清経入水の経緯を妻に語り、船中に清経によって残されていた遺髪を手渡す。妻は自分をおいていってしまったことへの恨みを見せて、栗津に遺髪を手向け返す。
悲しさに嘆き泣き伏し、転た寝していた妻の夢の中に清経の霊がゆっくりと現れる。妻は戦死や病死でもなくて、何故自分を置き去りにして命を断ったのか恨み嘆き、清経はその動機を話すから恨みを晴らしてほしいという。
清経は敵兵に追われ神仏にもすがったが、無益な戦いに疑問を抱き入水を決意した。そして舳先に立ち、愛用の笛を吹き、今様を歌いつつ南無阿弥陀仏を唱えて入水した。最後に清経の霊は修羅道に落ち苦しんでいたが念仏によって成仏することができた。
[場面解説]
能「清経」の後半、クセにおける一場面である。左上の謡の文句には「船の舳板に立ちあがり 腰よりやうでう(横笛)抜きいだし 音もすみやかに吹きならし 今様をうたひ朗詠し」とある。謡文句と共に描かれているのは、劇中で使用される清経の遺髪が入った守袋である。その後ろには、清経が死を覚悟し、入水をする舞台となった船が見える。
能においては、様々な型によって身体表現がなされるが、本曲クセの「音も澄みやかに吹き鳴らし」という場面での所作は、開いた扇を笛に見立てるという独特のものである。扇を効果的に使った、クセの中でも風流な一面を見ることができる部分で、今様や音楽をよくした平家の公達らしさが垣間見える場面といえよう。
能「清経」の後半、クセにおける一場面である。左上の謡の文句には「船の舳板に立ちあがり 腰よりやうでう(横笛)抜きいだし 音もすみやかに吹きならし 今様をうたひ朗詠し」とある。謡文句と共に描かれているのは、劇中で使用される清経の遺髪が入った守袋である。その後ろには、清経が死を覚悟し、入水をする舞台となった船が見える。
能においては、様々な型によって身体表現がなされるが、本曲クセの「音も澄みやかに吹き鳴らし」という場面での所作は、開いた扇を笛に見立てるという独特のものである。扇を効果的に使った、クセの中でも風流な一面を見ることができる部分で、今様や音楽をよくした平家の公達らしさが垣間見える場面といえよう。