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2009年7月23日

DH09参加報告

岡本隆明

DH09では、「Text and Pictures in Japanese Historical Documents」というタイトルでポスター発表をおこなってきました。名前のとおり、古文書を対象として、個々の文字と文書画像とを関連付けることで歴史学・古文書学の研究に役立ち、他の研究分野へ応用することもできる、といった内容です。

テキストとイメージとの関連付け、あるいは、古文書を対象とする研究としては、たとえば、6月23日の11:00~12:30に行われたセッションで次のような発表がありました。

Towards an Interpretation Support System for Reading Ancient Documents
Henriette Roued Olsen, Segolene Tarte, Melissa Terras, Michael Brady, Alan Bowman

Image as Markup: Adding Semantics to Manuscript Images
Hugh Cayless

Computer-Aided Palaeography, Present and Future
Peter A. Stokes

画像処理による消えてしまっている文字の判読や、筆跡の特徴を数値化して比較する、あるいは、文書上の文字の形をSVGで表現する、といった研究でした。

その場にいて感じたのは、上記のようなコンピュータサイエンス側から見るテキストとイメージとの関連付けは、自分が考えていることとは微妙に違うのかな、ということです。
文字の位置を座標で表現する、というのはどんな立場であれ同じなのですが、そうすることにどのような意味をみいだすか、という点です。

人文学研究において、資料のテキストデータと画像データが研究の基礎的なデータとして大事であることは異論がないと思います。
研究者は、コンピュータによる文字の自動認識ができなくても手作業で研究対象のテキストデータを作成するのは当然ですし、高度な画像処理を行うことができるようなクオリティではなくてもデジタルカメラやスキャナで研究対象の画像データを作成します。

自分の考えでは、テキストと画像とを関連付けるための、座標で表現されるデータもテキストデータや画像データとならぶ第三の基礎的なデータなわけです。つまり、人文学研究者にとって研究を進める上で、あるいは他の研究者と資料を共有する上で必要となるものだから、新しい技術が開発されて自動的に取得できるようになるまで待つのではなく、手作業ででも作成していくべきものではなかろうか、と考えています。

ですので、テキストとイメージとの関連付けといっても、テクニカルな研究の結果として(あるいは従として)、というのではなく、それ自体をどうやって効率的に実現するか、効果的に表現するか、研究にどう応用するのか、というのが出発点であり、目的です。自分の研究のこのような位置づけを、今後もっと明確にし、発表のときには初めにきちんと示す必要があるだろうと思いました。

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