1.2裏舞台TOP

●白楽天(はくらくてん)

UP0920[あらすじ]
中国の詩人・白楽天は日本の知力を試せという勅令を受け、松浦潟までやってきた。そこで小舟に乗って釣りをしている漁翁と漁夫に出会う。すると漁翁は楽天の名前・渡来の目的を当て、楽天が目の前の景色を見ながら詩を作ると、直ちに和歌に翻訳する。老漁は日本では蛙や鶯までもが歌を詠むのだといい、舞楽の遊びをして見せようと言うと消えていった。
老漁は、実は住吉明神の仮の姿であり、やがて気高い老体の神姿で現れ、舞を見せた後に多くの日本の神々と共に神風を起こし、楽天を中国へと吹き戻すのだった。
[場面解説]
本作品の構図は一風変わっている。幕を境に、手前はワキ方と間狂言を配置して舞台上の様子を表している。一方、幕の内側では、間狂言の間に後シテに着替えているところである。壁には赤頭と黒頭が掛かっており、前後の能に使用のものであることが想像できる。大口を二人がかりで着付けているが、この大口は構造上一人では着付けられないため、必ず複数の人数で着付けなければならない。
その傍らでは、前髪の少年が面箱から面を出そうとしている。この曲では、前シテは朝倉尉か笑尉、後シテは皺尉などを用いる。また、本作品の右部には「朝倉尉又ハ皺尉の類」と書かれている。