代表者:日本学術振興会・RPD 加茂 瑞穂
これまでの研究課題「デジタル・アーカイブ手法を用いた近代染織資料の整理と活用」と、それに関係した研究プロジェクトにより、学術資料として俎上に上がっていない近代染織史に関連する資料の整理・蓄積が進み、それによって、伝統的地場産業と位置付けられてきた京都の染織のグローバルな展開―近代以降の西洋技術・デザインの導入だけではなく、戦前から始まるアジア・アフリカへの製品輸出・海外事業展開も含む―が明らかになってきた。
そこで、研究課題の新しい段階として、近代京都を起点として染色産業がどのように国内外へ展開されてきたのか、あるいは影響を受けてきたのかを染色技術やデザインを通じて明らかにする。具体的には、京都の近代染織、アフリカン・プリント、伊勢型紙、バティック等をデジタル・アーカイブ化することにより可視化し、デザイン・技術の世界的連環を解明する。
代表者:京都女子大学・准教授 青木 美保子
本研究は、学術資料として俎上に上がっていない近代染織史に関連する資料の整理・蓄積をすすめるものである。近代染織史を研究するための資料は散在し、か つ未整理のものが大半であり、基礎的な資料調査が必要不可欠な段階にある。一方、近代の染織産業については聞き取り調査も研究手法の有効な手段であり、文 献資料には残らない情報を収集することができる。そこで、本研究では、近代染織研究に必要な資料整理や調査を進めつつ、資料・情報を蓄積していく場を構築 し、情報技術を駆使してその共有化を進める。この資料・情報の整理・蓄積・共有化は、染織研究関係者と染織業従事者へ新たな交流の場を提供することとな り、延いては染織業の活性化を模索する足掛かりとなるであろう。