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[Research of Kyoto-based Global Development of Printing Techniques and Designs(京都を起点とした染色技術及びデザインのグローバルな展開に関する研究)]2016年5月 2日(月)共同研究の調査・研究の成果の一部を、展覧会にて公開することとなりました。開催に御協力いただきました機関・資料所蔵者・調査関係者、そのほかご協力いただきました皆様に感謝いたします。
短い会期ではございますが、ぜひご高覧いただけましたら幸いです。
『京都の墨流し染・糊流し染-その系譜と新たな可能性-』
本展覧会では、明治期から現代までの京都の墨流し染・糊流し染の系譜を辿ることで、この染色技法が時代に即しながら意匠や技術を変化させつつも伝承されてきた技法であることを提示するとともに、その過程において失われた技術である糊流し染「マドレー染」を復活させ新たな可能性を探る取り組みを紹介します。
明治期京都において墨流し業を営む八木家の三代目徳太郎は着物の生地に施す墨流し染の連続模様を考案します。一方、京都高等工芸学校色染科の初代主任教授で後に第二代校長を務めた鶴巻鶴一は、その墨流し染に用いる染料と媒染剤、そしてその使用法を開発しました。この八木と鶴巻が改良した墨流し染は、大正期に、鶴巻の弟子の亀井光三郎に引き継がれ、後に糊流し染と称される「改良流し染」の開発につながります。さらにその権利を譲り受けた友禅業の日比野治三郎は、その糊流し染に更なる改良を加え「マドレー染」と称する独自の染色技術を考案しました。昭和期、その「マドレー染」をもとに新たに開発された糊流し技法の「流線染」を習得していた薗部正典氏は、昭和期末に、新開発の顔料を用いて、また新たな墨流し染の技術を開発しました。
現在、墨流し染を京友禅の確固たる技法のひとつとして確立させ現代の名工となった薗部氏は、墨流し染の第一人者として着物業界以外にもアパレル業界他各方面からの注目を集めています。しかし、この系譜のなかの日比野家の「マドレー染」は世代交代によって技術が途絶え幻の糊流し染技法となってしまいました。
こうした系譜を辿った京都の墨流し染・糊流し染ですが、今、日比野治三郎の曾孫、日比野淳平氏によって「マドレー染」の技術が復活しようとしています。八木と鶴巻によって改良された墨流し染と、鶴巻の弟子亀井の改良流し染、この二つの師弟関係にあった伝統の染色技法は、薗部氏の墨流し染と、日比野氏の糊流し染として、師弟の関係持ちつつ揃って再びここに紹介されることになります。
染色技術の変遷とともに墨流し染・糊流し染の美をお楽しみいただき、あわせて、京都の伝統産業の可能性を探るこの試みを暖かい目でご覧いただければ幸いです。
○開催期間:2016年5月23日(月)から2016年6月11日(土)まで
○開館時間:10-17時(入館は16時30分まで)
○休館日:日曜、祝日
○会場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階(第1展示室、第2展示室)
○入館料:一般200円、大学生150円、高校生以下無料
*京都・大学ミュージアム連携所属大学の学生・院生は学生証の提示により無料で入場できます。
◎関連企画
ギャラリートーク
2016年6月4日(土) 10:00 - @京都工芸繊維大学美術工芸資料館1階○申込不要
○主催
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
立命館大学アート・リサーチセンター 文部科学省 共同利用・共同研究拠点「 日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」
○企画
染織資料整理活用研究会「糊流し染「マドレー染」の復活における記録と希少染色技法を活かした新たなものづくりの可能性と事業化について」プロジェクト
プロジェクトメンバー 研究代表者 鈴木桂子(立命館大学)
研究分担者 並木誠士(京都工芸繊維大学)
青木美保子(京都女子大学)
日比野淳平(株式会社マドレー)
立命館大学アート・リサーチセンター 文部科学省 共同利用・共同研究拠点「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」《デジタル・アーカイブ手法を用いた近代染織資料の整理と活用プロジェクト》
プロジェクトメンバー:研究代表者 青木美保子(京都女子大学)
研究分担者 並木誠士(京都工芸繊維大学)
上田文(京都工芸繊維大学)
鈴木桂子(立命館大学)
山本真紗子(立命館大学)
加茂瑞穂(立命館大学)
○助成:京都産学公連携機構「文理融合・文系産学連携促進事業」
○協力:京都・大学ミュージアム連携
Period
May 23 (Monday) - June 11 (Saturday), 2016
Hours
10:00-17:00 (Admission until 16:30)
Venue
Museum and Archives, Kyoto Institute of Technology
[Hashigami-cho Matsugasaki Sakyo-ku Kyoto-shi Kyoto 606-8585 Japan]
Access
KIT Museum and Archive
Admission:
Adults / 200yen
Students (College, University) / 150yen
*Free for High School students and Below
*Free for students of the university affiliated with University Museum Association of Kyoto[Research of Kyoto-based Global Development of Printing Techniques and Designs(京都を起点とした染色技術及びデザインのグローバルな展開に関する研究)]2015年12月13日(日)[Research of Kyoto-based Global Development of Printing Techniques and Designs(京都を起点とした染色技術及びデザインのグローバルな展開に関する研究)]2015年12月 6日(日)共同研究の調査・研究の成果の一部を、展覧会にて公開することとなりました。開催に御協力いただきました機関・資料所蔵者・調査関係者、そのほかご協力いただきました皆様に感謝いたします。
短い会期ではございますが、ぜひご高覧いただけましたら幸いです。
展覧会タイトル:京都近代捺染産業の軌跡 -ローラー彫刻の祖 武田周次郎とその後-
会期:2015年12月7日(月)~12月18日(金) 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:13日(日曜日)
ギャラリートーク:12月12日(土)14:00~
企画:立命館大学アート・リサーチセンター 日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点 デジタル・アーカイブ手法を用いた近代染織資料の整理と活用プロジェクト
主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
協力:京都・大学ミュージアム連携
助成:文部科学省 共同利用・共同研究拠点 立命館大学アート・リサーチセンター 日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点
概要:本展は、ローラー彫刻の祖・武田周次郎に関わる新出資料を手掛かりに、近代京都の機械捺染産業に焦点をあて、ローラー彫刻業の軌跡を辿ろうとするものです。鉄工所の旋盤工として出発した武田周次郎(1877―1931)は、明治31年(1898)に機械捺染機を西洋から初めて導入した堀川新三郎の工場で彫刻技術の研鑽を積み、大正5年(1916)日本初の彫刻専門工場を開設しました。ここから始まったローラー彫刻業の発展によって、新柄の彫刻を輸入に頼っていた日本の機械捺染産業は独立し、流行に柔軟に対応した生産が可能となったのです。
展覧会では、これまで進めてきた機械捺染についての研究成果をまじえ、武田周次郎の彫刻所や、大正期の武田商会、ヨーロッパ視察旅行などの資料を紹介します。
武田彫刻所からは、ローラー彫刻技術者が数多く育ち、全国で活躍しました。徳岡彫刻所、京美彫刻株式会社など、現在にまでその系譜は続いています。絣柄の機械捺染の黄金時代であった大正期、第二次世界大戦後アフリカまで輸出を拡大した1960年代、こうした日本の経済を支えるまでに成長する捺染産業もローラーによるデザイン彫刻なしには語れません。こうした基礎を築いたのが武田周次郎だったのです。
本展で、京都の一大産業となった機械捺染の原点に迫る資料を紹介することで、またひとつ機械捺染の歴史の記録を増やしたいと思います。
*詳細はこちら → http://www.museum.kit.ac.jp/20151207.html
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