劇場で演奏する長唄雛子連中が、劇場と複数年契約らしいことは、顔見世番付の調査でわかってきている。これならばある程度の生活は保障されているが、浄瑠璃連中の契約はどうなっているのか私にはわからなかった。お稽古だけで生活していたのか、別に職業を持っていたのか。漠然とした疑問から、河東節の曲を調べているうちに、江戸の祭礼で演奏された曲が伝承されている。そこで祭礼の番付類を調べてみると、祭礼の余興=附祭には実に多数の浄瑠璃系の演奏家が出演している。祭礼番付は別にまとめる(一部は2017年中に発行予定)ことにして、関連する浮世絵を集めはじめたが、これが実に多かった。そしてそれぞれの時代の流行と江戸町人の音楽嗜好が見えてきたし、同時に祭礼の規模の大きさに驚かされた。神田祭と山王祭のほか、ついでに手に入ったものも紹介した。なお、本章については、神田祭、山王祭、天王祭に分け、更に画面内容ごと、年代順とした。