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2007年02月16日

●謡曲「紅葉狩」と歌舞伎「紅葉狩」

●歌舞伎の「紅葉狩」
歌舞伎「紅葉狩」は謡曲「紅葉狩」に取材した作品で、歌舞伎演目での作者は古河黙阿弥(河竹黙阿弥)と古河新水(守田勘弥)である。初演は明治二十年(一八八七)十月十二日、東京新富座である。本作は新歌舞伎十八番の内の一つであり初演時は九代目市川団十郎が更科姫実は鬼女を、初代市川左団次が平維茂、山神を四世中村芝翫が演じた。演奏は常磐津・義太夫・長唄の三方掛合で演奏される。

●歌舞伎「紅葉狩」の更科姫実は鬼女の衣裳
現行の歌舞伎「紅葉狩」の更科姫の衣裳は着付が「赤綸子に紅葉流れ水模様の縫振袖」 である。赤綸子の振袖は歌舞伎の姫の代表的な衣裳であり、いわゆる赤姫として登場する。話が進み、鬼女の正体を表わすと着付は「白綸子のぶっ返り(雲と稲妻の縫)金地黒の雲肌付赤の長袴」 へと衣裳が変化する。このぶっ返りについて服部幸雄氏は「ぶっ返り以前の衣裳は仮の姿であって、本体は彼が着込んでいる衣裳そのものである。」とし、仮体をはぎ取り、「本体を見顕す」ことだとしている。歌舞伎では「ぶっ返り」という歌舞伎独特の衣裳を用いた演出方法によって、能の「裳着胴」で表現する「尋常ならざる出立」つまりは鬼女という本性を表現していると言える。

《参考文献》

・金森和子編集『歌舞伎衣裳附帳』1991年 松竹衣裳株式会社
・観世喜正・正田夏子著、青木信二撮影『一歩進めて能鑑賞 演目別にみる能装束』 淡交社 2004年
・郡司正勝編著『舞踊集 歌舞伎オンステージ』 白水社 1988年
・小山弘志・佐藤健一郎『新編日本古典文学全集 謡曲集 二』 小学館 1998年
・服部幸雄『江戸歌舞伎』岩波書店 同時代ライブラリー 1993年
・『別冊演劇界 伝統芸能シリーズ 日本舞踊曲集成 歌舞伎舞踊編』演劇出版社 2004年


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