●謡曲「紅葉狩」と歌舞伎「紅葉狩」
●謡曲「紅葉狩」とは
謡曲「紅葉狩」の作者は観世小次郎信光(一四三五~一五一六)である。彼の作品は「目や耳に具体的に訴える演出法を予定した作能であり、新しい試みであった。登場人物も多く、見世物としての効果を狙った、いわば大衆性を持った華麗さであり、それは、やがて興る歌舞伎につながるといってもよいであろう。」 と評されている。
●謡曲「紅葉狩」の衣裳
能「紅葉狩」の前シテの上臈は緋大口に唐織を壺折りに着付け、登場する 。緋大口は身分の高い上臈や女神などに使う装束である。一見すると身分の高い上臈にしか見えないが、唐織の胸元から着付(内着)の白地鱗摺拍をのぞかせることで後々暴かれる鬼女の正体を装束によって示している。また、着付の「鱗文」は鬼女を表わす役どころで用いられている文様である。後シテになると着付を脱ぎ、白地鱗摺拍に、緋大口という般若出立となる。この時表着を脱いだ半裸体を表現する「裳着胴」は「尋常ならざる出立」を示している。
《参考文献》
・金森和子編集『歌舞伎衣裳附帳』1991年 松竹衣裳株式会社
・観世喜正・正田夏子著、青木信二撮影『一歩進めて能鑑賞 演目別にみる能装束』 淡交社 2004年
・郡司正勝編著『舞踊集 歌舞伎オンステージ』 白水社 1988年
・小山弘志・佐藤健一郎『新編日本古典文学全集 謡曲集 二』 小学館 1998年
・服部幸雄『江戸歌舞伎』岩波書店 同時代ライブラリー 1993年
・『別冊演劇界 伝統芸能シリーズ 日本舞踊曲集成 歌舞伎舞踊編』演劇出版社 2004年
・金森和子編集『歌舞伎衣裳附帳』1991年 松竹衣裳株式会社
・観世喜正・正田夏子著、青木信二撮影『一歩進めて能鑑賞 演目別にみる能装束』 淡交社 2004年
・郡司正勝編著『舞踊集 歌舞伎オンステージ』 白水社 1988年
・小山弘志・佐藤健一郎『新編日本古典文学全集 謡曲集 二』 小学館 1998年
・服部幸雄『江戸歌舞伎』岩波書店 同時代ライブラリー 1993年
・『別冊演劇界 伝統芸能シリーズ 日本舞踊曲集成 歌舞伎舞踊編』演劇出版社 2004年