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    「春画を見る・艶本を読む」展

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出版物の規制と現代

ここでは、春画そのものの出版ではなく、春画の復刻本や研究書の出版についてみていきます。近代以降では、春画や艶本そのものではなく、それらの研究書に対しても当局は目を光らせていました。しかし厳しい取締がある一方で、法の目をすり抜け、あるいは真っ向から争いながらこれらの出版を続ける人々がいました。平成に入り、春画は無修正で復刻されるようになりますが、そこに至るまでの時代の流れをおっていきたいと思います。
また、2000年代に入り、特に欧州において春画をテーマとした展覧会がしばしば企画されるようになりました。2013年には大英博物館で大規模な春画展が開催されています。現代の我々が春画をどのように評価していくのか。これらの展覧会は日本人にとっても大きな問題を投げかけています。

会員システムによる流通
 ∟26-1 「文藝市場」
 ∟26-2 『変態十二史』
 ∟26-3 『変態十二史 変態崇拝史』

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「文藝市場」
大正15年(1926)4月号(1802)
立命館大学図書館蔵


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『変態十二史』シリーズ
大正15年(1926)~昭和3年(1928)
立命館大学図書館蔵


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『変態十二史 変態崇拝史』
大正16年(1927)1月
立命館大学図書館蔵

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研究書の出版
27 『元禄古版画集英』

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渋井清『元禄古版画集英』
大正15年(1926)
個人蔵

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国貞裁判

昭和35年(1960)に有光書房(代表、坂本篤[1901-1977])から林美一(1922-99)の研究書第一作である『艶本研究国貞』が出版される。本書は店頭で販売される並製本と仕掛け絵を施した特装本の二種類が作られた。公刊本の並装本はもちろん、特装本においても全ての図版に修正が施されている。特装本は三百部限定で、住所氏名の判っている購入者のみに販売された。
当時の艶本や好色本の翻刻には、取締を防ぐために性的な表現を含む文章を削除していたが、この特装本には翻刻の伏字部分を「参考資料」として付けていた。不特定多数に販売される並製本にはこの附録はなく、希望者があっても渡すことはなかった。しかし、特装本の附録として作られた「参考資料」が猥褻文書とされ、後には研究書自体も猥褻図書として「猥褻文書販売」および「猥褻図書販売」の罪で摘発される。
裁判は13年かかり、有罪判決となり、出版社に罰金10万円、林美一に5万円が科された。

国貞裁判-参考資料
 ∟28 『艶本研究国貞(特製本)』

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林美一『艶本研究 国貞(特製本)』
昭和35年(1960)
個人蔵

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図版の修正と書入の削除
 ∟29 『艶本研究国貞(並製本)』

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林美一『艶本研究国貞(並製本)』
昭和38年(1963)
個人蔵

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無修正版の出版
 ∟30 『江戸枕絵師集成 歌川国貞』

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林美一『江戸枕絵師集成 歌川国貞』
平成元年(1989)
個人蔵

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海外における春画の再評価
 ∟31 大英博物館特別展「Shunga: sex and plearure in Japanese Art」

31-bm-shunga

大英博物館特別展「Shunga: sex and plearure in Japanese Art」
2013年10月-2014年1月(石上撮影)

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