講演者の紹介Profiles

室瀬和美Kazumi Murose 漆芸作家

1950年東京生まれ。漆芸作家。東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。同修了制作大学買上げ。

1991年目白漆芸文化財研究所を開設。創作活動とともに文化財の修復活動も行い、国宝「梅蒔絵手箱」(三嶋大社)の模造制作や、ロンドン、プラハなど海外での保存修復活動を行う。
 漆、日本の美を伝えるべく、海外への出展、講演活動を積極的に行っている。

2008年重要無形文化財「蒔絵」保持者(人間国宝)認定。同年、紫綬褒章受章。
著書に『漆の文化-受け継がれる日本の美』(角川選書)がある。


1日目: 発表要旨Overview漆 ─有形・無形の伝え方

漆という素材は、一旦固まると、いかなる酸・アルカリにもおかされることのない、世界でも例のない優れた樹液である。そのため、古くから多くの遺例が伝えられている。
 実は日本の美術工芸の華ともいうべき、多彩な技法表現で彩られた漆工史を見れば、極端な話だが、日本の文化レベルが理解できるとも言えるだろう。

その漆工の「技術」も今に伝わるが、その現状・未来は多難である。
 まずは漆液、そして技術を支える道具類の生産・確保は、いまや風前の灯火である。有形の文化財を支える環境と共に、これら「技術」という無形の文化財を支え、後世に伝えるための積極的活動は急務である。
無形文化財保持者の立場から、上記の現状と展望を語りたい。

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