講演者の紹介Profiles

ジョン・マックJohn Mack イースト・アングリア大学 教授

イースト・アングリア大学世界芸術研究科教授、世界芸術及び博物館学科長、セインズベリー芸術研究所長。
 28年間に及ぶ大英博物館の人類学部門上級学芸課長、人類学博物館の館長職を経て、2004年より現職。

近著として、The Sea: A Cultural History (2011)、The Art of Small Things (2007)、Museum of the Mind: Art and Memory in World Cultures (2003)がある。

国立民族学博物館と緊密な関係があり、2004年には日本における巡回展「大英博物館の至宝」を民族学博物館と共同で監修した。


2日目: 講演要旨Overview場所の歴史、場所の記憶―大英博物館の場合―

考古学・歴史博物館が、知識の泉であるということは広く一般に認識されている。博物館が、過去についての証拠に基づいた理解・見解から派生したということ自体、制度としての評価を示唆するものである。学芸員には、定説でないようなことを調査したり、個人的な意見を述べたりするといったことは期待されていない。それよりもむしろ、正確な記述や作品自体、また、そういった物の展示と解釈を通して、歴史を証言することが、学芸員の手腕として問われるものであるからだ。しかしながら、博物館を訪れる人々の反応は様々であり、純粋に自身の教育のために訪れる者はあまりいない。学芸員たちが客観的な情報を提供する博物館において、来訪者は主観的な観点から、個々の好みや選択に応じて、展示室・展覧会を移動する。

本講演は、2003年にイギリスで、2004年に日本で開催された、大英博物館の創設250周年を記念する展覧会の監修を行った経験を基に、「歴史」と「記憶」の差異と、それに基づくアプローチの違いについて論じてみたい。

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