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青柳正規Masanori Aoyagi 国立西洋美術館 館長

国立西洋美術館館長、東京大学名誉教授。今回の「大英博物館 古代ギリシャ展」の日本側の監修を務める。

古代ギリシャ・ローマ美術史研究の第一人者として、30年以上にわたり、地中海各地の遺跡を発掘調査。2003年イタリアで、ローマ帝国初期の大理石女性像をほぼ完全な形で発見した。2006年紫綬褒章。2011年NHK放送文化賞受賞。

番組では、NHKスペシャル「大英博物館」(1990)・「ローマ帝国」(2004)、TBS「世界史上空前の謎、古代ローマ・幻の都市ポンペイはなぜ19時間で消えたのか」(2004)に出演。著書には「エウローパの舟の家」「古代都市ローマ」「皇帝たちの都ローマ」などがある。


2日目: 発表要旨Overviewデジタル文化財が果たす役割と未来像

第二次世界大戦後、驚異的な経済発展を遂げたが故に、21世紀になってもなお経済至上主義から脱却できないでいる我が国は、その呪縛のゆえの思考停止に陥っている。このような思考停止状態から脱却するには、経済を社会構成の一要素として相対化し、経済と同等の役割を文化に与えることによって社会の「充実」と「質の向上」を目指すことである。

そのため方策の一つとして、デジタル技術の経験と水準を有する我が国が、さまざまな文化的表象(美術品、文書資料、書籍、映像、音声、演劇、祭祀等)のデジタル化による共通化、標準化、集積を積極的に推進することであるある。そのことによって、科学・技術・芸術など、分野毎にセクター化されている情報を、デジタル化で横串しにし、「場所」と「時間軸」を埋める、共通のプラットフォームを形成し提供することになる。

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