山水画

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さんすいが


画題

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解説

画題辞典

山水画は風景画の総称なり、最も古きは京都東寺所蔵山水屏風の藤原時代の作なるを推すべく。山水画の大家としては、支那に於て馬遠、夏珪、我邦に於ては周文、雪舟などを稚すべし。後代に至るに随って内容或は形式等に於て種種の区分あるに至る、春景山水、夏景山水、秋景山水、冬景山水、雨景山水、雪景山水の如きは、その内容によりて名づけられたものにして、米点山水、破墨山水、水墨山水、青緑山水、金碧山水、楼閣山水などは、其の形式によりて名づけられたるものなり。山水画の優秀なるもの左の如し。

京都金地院所蔵明兆筆、狩野元信筆、高然暉筆各一点、京都相国寺所蔵絶海筆一点、京都龍光院所蔵馬遠筆一点、京都曼殊院所蔵雪舟筆夏冬山水二点、京都大仙院所蔵伝相阿弥筆一点、京都高桐院所蔵二点、京都霊雲院所蔵伝狩野元信筆数点、山城神護寺所蔵屏風一点、山城金剛寺所蔵円山応挙筆一点、備前本蓮寺所蔵馬遠筆一点、但馬大乗寺所蔵円山応挙筆一点等各寺院所蔵にして国費に指定されたるものとす。

この他各家襲蔵の名品としては、雪舟筆山水長巻(毛利公爵所蔵)、雪舟筆出水絵巻(浅野候爵所蔵)、芸阿弥筆(郷男爵所蔵)、啓書記筆(原富太郎氏所蔵)、同(根津嘉一郎氏所蔵)、秋月筆(伊達男爵所蔵)、玉澗筆(村山龍平氏所蔵)、戴文進筆(徳川伯爵所蔵)等を初め近世に至るまで優品極めて多し。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

山水画は東洋画に於ける一部門で、所謂風景画の総称であり、その起原は決して独立して起つたものではなく、人物画の背景として画かれたものであるが、後に至つて山水のみを画いて山水画と呼ばれるやうになつた、更に時代を経るに従つて種々なる形式が出来た、即ち、これを季節の上から区別して、四季山水春景山水夏景山水秋景山水冬景山水があり、天文地象の上から、雨景山水あり雨中山水あり風雨山水あり、雪景山水あり、月夜山水あり、構図形式の上から真山水重畳山水平遠山水楼閣山水あり、画法用筆の上から破墨山水米点山水米法山水があり、色調の上からは水墨山水浅絳山水青緑山水金碧山水があり、植物名を加へたものに竹林山水松林山水柳桃山水などがある、建部凌岱の漢画指南の画意之論には

山水譜曰、凡見山水之法、第一見其気象、第二見其筆、第三見其図云々、此実に画生専の心得也。

と謂てゐる、以て東洋画に於ける山水画の内容を知ることが出来る。併しこれは支那画から来たもので、日本には日本の山水画のあることを特記しなければならぬ、即ち神護寺や東寺の『山水屏風』に描かれたものゝ如きがそれであり、これが絵巻などに現はれた山水の形式を生み、徳川時代に至つては葛飾北斎や安藤広重によつて、又独立した一山水画が生るゝに至つた、なほ漢画指南には、山水四季画題として、

春江晴嶂、春岫帰雲、春渓間棹、春山仙隠、春林過雨、春泉闘茗、夏木蒼涼、夏山煙靄、蒼山避暑、夏山煙雨、山人観瀑、深林静処、秋山晩趣、秋村平遠、秋渓清詠、秋巒横靄、層巒秋靄、江山秋霽、寒山茅屋、寒谿漁隠、寒江晩山、霜林傑閣、雪谿仙館、疎林寒館

等を挙げてゐるが、これは前に挙げた四季の山水の何れにか入るベきものである、こゝには前掲の山水の文字の用ひられたものに対してその順序によつて略述することゝする。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)