●ご挨拶
このたび、スコットランド出身のアーティスト、ポール・ビニー氏の版画作品が100点を超えたのを記念して作品図録が刊行されました。これを機に全作品を集めた展覧会を開催することになりました。現在までの全102点の内、92点が前・後期に分けて展示されます。
⇒広報SITE
⇒アーティストトークならびに実演
さて、立命館大学アート・リサーチセンターは、21世紀COEプログラムに引き続き、文部科学省グローバルCOEプログラムに「日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点」として採択され、2007年度から5年間に亙って日本文化を世界の中でどのように位置づけ、またIT技術によりどのように共有化するかという大きな研究課題に向かって力を注いでいきます。本展覧会は、このグローバルな日本文化研究の第一弾として、日本の伝統文化がどのように海外で受容され発露しているかを示す好例となると考え企画されたものです。
ポール・ビニー氏は、英国のアーティストでありながら、浮世絵をはじめとする日本の版画芸術に強い興味を持ち、日本において伝統的な版画技術を学びました。現在は、ロンドンで創作活動を続けています。氏の特徴は、たんに技術を取入れただけではなく、能楽や歌舞伎といった伝統芸能に通じ、日本滞在中に、能絵や役者版画を多く残したところにあります。
また、美人画や風景画にも独特の味を持ち、先行作を意識させながら独自の境地を版に刻むという方法を使って、本人の特性を逆に引き出していきます。とかく前衛的な作品に走りがちな現代作家の中にあって、彼の“誠実な表現”は、新鮮さと心地よさを鑑賞者にあたえてくれます。
さらに、多色摺技法としては錦絵摺だけではなく、合羽摺を多用しているところにも特徴がみられます。アート・リサーチセンターは、京都を中心として江戸期から続いてきた合羽摺版画の世界最大コレクションを保有しています。現代において合羽摺が版画芸術の世界でどのように応用されているのかを示すものであります。学術の場に現代作家の作品による展覧会を企画した所以です。
氏はまた、銅版やさらには、ジグソーカッティングという日本人があまり手がけない手法も駆使しています。自彫自摺でありながら、描画・彫り・摺りともに高度な技術を持つ作家ならではのバラエティに富んだ挑戦の跡が本作品展により確認していただけるものと期待しています。
最後になりましたが、本プロジェクトのためにほぼ総ての作品をご提供いただいたポール・ビニー氏に感謝申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
ポール・ビニー氏は、英国のアーティストでありながら、浮世絵をはじめとする日本の版画芸術に強い興味を持ち、日本において伝統的な版画技術を学びました。現在は、ロンドンで創作活動を続けています。氏の特徴は、たんに技術を取入れただけではなく、能楽や歌舞伎といった伝統芸能に通じ、日本滞在中に、能絵や役者版画を多く残したところにあります。
また、美人画や風景画にも独特の味を持ち、先行作を意識させながら独自の境地を版に刻むという方法を使って、本人の特性を逆に引き出していきます。とかく前衛的な作品に走りがちな現代作家の中にあって、彼の“誠実な表現”は、新鮮さと心地よさを鑑賞者にあたえてくれます。
さらに、多色摺技法としては錦絵摺だけではなく、合羽摺を多用しているところにも特徴がみられます。アート・リサーチセンターは、京都を中心として江戸期から続いてきた合羽摺版画の世界最大コレクションを保有しています。現代において合羽摺が版画芸術の世界でどのように応用されているのかを示すものであります。学術の場に現代作家の作品による展覧会を企画した所以です。
氏はまた、銅版やさらには、ジグソーカッティングという日本人があまり手がけない手法も駆使しています。自彫自摺でありながら、描画・彫り・摺りともに高度な技術を持つ作家ならではのバラエティに富んだ挑戦の跡が本作品展により確認していただけるものと期待しています。
最後になりましたが、本プロジェクトのためにほぼ総ての作品をご提供いただいたポール・ビニー氏に感謝申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
2007年11月5日
立命館大学アート・リサーチセンターセンター
グローバルCOE(立命館大学) 日本文化研究班
グループリーダー 赤間 亮