●空摺

 奉書紙などの厚い紙を用いて絵の具をのせずに強く摺ると、その版の模様が紙に浮出てくる。正面から見ていてもあまり目立たないが、斜めからの光があるとその凹凸に影が付き、模様が浮き出て見える。高価な浮世絵によく用いられる手法であるが、ビニー氏も、作品「えび反」(№)の襟部分、「三渓園」(№)の雪の足跡などで効果的に利用している。