[翻刻]
□□みかけハ立派な男だがかわいや
こいつハてんぼうだそふだ足のよく
きく麩屋かたゞしくはこんにやくやの男か
そのようふなことをして男達で候のと
人をおどすか惣じて
男達といふ者ハ第一
正道を守り不義を
せず不礼をなさず
意気地によつて
心を光くこれを
誠の男達といふ
理非を辨へず慮外
はたらく奴ツをバきおいと云
兎角曲輪にたへぬものが
地廻りのぶう/\耳の端の蚊も
同前手のひらへのせてぶつゝぶすぞ
したが虫同前のこと馬のみゝへ風
儘よ蚊やりにきやらでもたかふか
□あけ巻があくたいの初音
すけ六さん[と]伊久さんならべて見れば
[雪と]墨こちらハりつぱな
よい男こちらはさも
いぢのわる
さうなお顔
つき鳴
門の海も
硯の海も
[海]といふ
字ハ一つでも
[深]ひと浅ひハまぶと
[き]やくまぶがなけりやア
[女]郎ハやみ助六さんと
[伊]久さんをくらやみでとりちがへても
[よ]いもんでござんせうかいなふ
江戸紫の鉢巻に髪はなまじめ
はけ先の間からのぞいて見る安房
上総が浮絵のやうに見へる相手が
[ふ・み]へれば龍に水金龍山の客殿
[か]ら目黒のめん蔵まで
御ぞんじの江戸ツ子八百八町に
[か]くれのなひ杏葉牡丹の
紋付も桜に匂ふ仲の丁
花川戸の助六とも総角の
助六ともいふ若ひもの
間近くよつてしやつつらを
[拝]み奉れエヽ
傘に蛇の目ごしかも
お箱にて
おしのきいたる
芸のあんばい
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