翻刻:
元暦文治の乱に源義経平家の一門を亡し勲功屡々ありといへども
讒者の為に右幕下の不興を蒙り 一身の置き処なく奥州へ下らんと主従山伏の姿容(すがた)に身を窶(やつ)し諸所の新関ハ偽り通れ共 加賀国安宅の関にハ富樫家盛固く守り容易に通ること能ハざれバ 弁慶が智略にて我々ハ南都の山伏大勧進の為諸国を巡行する者なりとて 笈の内より勧進帳を取出し高声に読上げ富樫を欺き通行なし 難なく奥州へ下着せしとなん
片岡八郎/源義経/郷の君/常陸房海尊/亀井六郎/伊勢三郎/駿河次郎/武蔵坊弁慶/富樫左エ門家盛
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