本研究プロジェクトは、日本における芸能伝承がどのようにして行われてきたのか、さらに将来、それはどのような方法で伝承・維持されようとしているのかの分析を試みるものである。 家元制度の分析を中心としながらも、家元制度にとらわれずに伝承されてきた伝統芸能も取り上げる。また、生間流など料理技術を守ってきた家なども検討し、社会学的な研究成果も取り入れた研究とする。 日本の芸能伝承の特色を明らかにするためにも、アジア、特に中国・韓国などの例も視野に入れながら検討する。
京都は、日本文化・芸能の発祥の地である。能・狂言、歌舞伎、京舞、人形浄瑠璃などを対象として、様々なデジタルアーカイブ技術を活用しながら、伝統芸能を現代のエンタテインメントとしてプロモートする手法を開発する。 具体的には、各種舞台の映像・画像アーカイブや、マルチアングル撮影、モーションキャプチャデータの活用、上演情報データベースや、舞台空間情報管理システムを活用した全く新しい舞台鑑賞ソフトの開発を目指している。
これまでに開発されている音声認識および音声合成などの要素技術を統合して汎用的な音声インタフェースを構築するとともに、具体的なアプリケーションを対象にして、音声対話システムを実現する。 さらに、音声を中心としたメディアコンテンツを対象として、セグメンテーションやインデキシング、重要箇所の同定など、コンテンツの構造分析や自動構造化にも取り組む。
日本舞踊、能、歌舞伎などの伝統舞踊、海外の民族舞踊など、無形文化財と呼ばれているもののうち、人間の身体運動に関わるものをとりあげ、これらをデジタルアーカイブ化するとともに、情報科学的観点から、解析・処理をします。身体動作の計測には、本学、アート・リサーチセンターに設置されている光学式モーションキャプチャシステムを使用します。 情報処理は各種の観点、すなわち、身体動作の定量的動作解析、身体動作の類似検索、特徴的身体動作の抽出など、感性情報処理的アプローチも試みます。 また、モーションキャプチャにより得られたデータから、3次元CGを作成し、 教育用のコンテンツとしての利用を検討し、可能なものは、Webにより配信することも計画しています。さらに、最新の仮想現実感(複合現実感)技術を利用し、CGと実演の競演のような新しい試みについても研究します。