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「第十回能装束・能面展 回顧展 〜10年の軌跡〜」
会 期
2006年8月1日(火) 〜 8月3日(木)
<3日のみ午後5時まで>
会 場
京都文化博物館
開館時間
午前10時 〜 午後6時
入場料
入場無料
主 催
立命館大学アート・リサーチセンター

立命館大学映像学部設置準備連続講座「映像 ―その未知の地平―」
日 時
2006年7月5日(水) 16:30〜18:30
会 場
立命館大学アート・リサーチセンター 多目的ルーム
主 催
立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」、立命館大学映像学部設置委員会
共 催
東京大学21世紀COEプログラム「共生のための国際哲学交流センター」
講 師
ミハイル・ヤンポリスキー(ニューヨーク大学芸術・科学学部、ロシア・スラブ研究科教授)
岩本憲児(早稲田大学名誉教授、早稲田大学芸術学校客員教授)
進行:北野圭介(立命館大学文学部教授)
内 容

課題2.映像の起源を問い直す ―エイゼンシテイン、モンタージュ論と「日本」―

 立命館大学映像学部(文部科学省届出手続中)新設にむけた連続講座『映像 ―その未知の地平―』では、「映像文化の21世紀的課題」シリーズと題し、映像文化を思考する際に浮かび上がってくる今日的な課題に対して、ひとつずつ検証を試みます。
 第2回目は、物語映像の起源としてエイゼンシテインのモンタージュ論を位置づけ、“芸術と科学の結合、感性と知性の融合”、“イメージと引用の飛翔”(岩本憲児「エイゼンシュテイン、または形式の流動性」『エイゼンシュテイン解読』)を試みた、20世紀の巨人・エイゼンシテインのモンタージュ論と、「日本」との関係性を検証します。
 講師には、大著『デーモンと迷宮』(水声社、2005年)で知られるミハイル・ヤンポリスキー氏と、『ロシア・アヴァンギャルドの映画と演劇』(水声社、1998年)の岩本憲児氏をお迎えし、ロシアと日本を代表する文化理論家、映画研究家が「エイゼンシテイン」を問い直します。


アート・リサーチセンター春季連続講演会 第2回「研究は楽しい −劉生と京都−」開催
 6月27日(火)、立命館大学アート・リサーチセンターにおいて春季連続講演会第2回を開催した。今回は、高知県立美術館の館長である篠雅廣氏を講師として招き、「研究は楽しい −劉生と京都−」 をテーマに講演を行った。
 篠氏は、2003年秋・京都市美術館において展覧会「劉生と京都−『内なる美』の追求」を企画し、独自の調査によって得られた結果を公開しており、長らく見過ごされてきた岸田劉生の京都時代にスポットライトをあてた経験について詳細な経緯と自身の研究観を語った。
 日本近代美術史の巨匠・岸田劉生は関東大震災の後、約2年間、京都に滞在していたが、その間、放蕩無頼の生活を送っていたと見なされていたため、ほとんど研究が進んでいなかった。
 篠氏はまず、劉生研究においてバイブル的な存在である『劉生日記』の信憑性を検証することからスタート、丹念に内容を再調査し、結果、『劉生日記』には作為的・文学的要素があることに着目した。さらに、劉生の京都時代の弟子・安井巳之吉が著した『巳之吉日記』を“発見”したことによって、最も近しい人物の立場から見た、新たな劉生像を明らかにすることが可能になった。
 篠氏は、「定説を覆すには、既知の資料の精査と新しい資料の提出が重要だ」と述べ、「研究とは、“疑問を抱く”ことから始まる。みんなが当然だと思っている資料・定説に対し、“本当に正しいのか”と感じるその直感を大切にするべきだ」と語った。

アート・リサーチセンター春季連続講演会 第1回「大学教育と映像」開催
 6月9日(金)、ニューヨーク大学東アジア学科准教授の吉本光宏氏を講師として招き、2006年度アート・リサーチセンター春季連続講演会第1回、ならびに映像学部設置準備連続講座として「大学教育と映像」をテーマに講演会を行った。
 講演では、北野圭介・文学部教授を聞き手として、「大学は映像とどう向き合えるか」をテーマに、教育内容・人材育成・文化振興などの観点から、欧米での映像教育・研究の経緯と現状が提示された。
 吉本氏は今後の映画研究のあり方について、「日本語がわからないから日本映画がわかるはずがないといった狭小な考え方ではなく、これからは、いかにしてネットワークを広げ、さまざまな人々がそれぞれの立場で見て、感じたことをどんどん取り入れることが"開かれた映画研究"のために必要だ」と語り、多様な視点の重要性を強調した。
 会場では映像教育に関心のある学生や学外から集まった参加者らが熱心に聞き入り、終了後も活発な意見交換が行われた。

第43回 藝能史研究會大会シンポジウム「芸能と絵画資料―浮世絵研究の新次元―」
日 時
2006年6月4日(日) 午前10時〜午後5時
会 場
キャンパスプラザ京都
共 催
立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」
内 容

[ 基調講演 ]
芸能と画像資料                              木村八重子氏

[ 報告 ]
演出資料としての黄表紙―「忠臣蔵」七段目を中心に―     齊藤 千恵氏
役者評判記と役者絵―三代目歌右衛門を例に―         神楽岡幼子氏
黙阿弥作品と絵画資料―『鼠小紋東君新形』を例に―      埋忠 美沙氏

[ まとめ ]
歌舞伎研究における「役者絵」の可能性               赤間  亮氏


「藤井永観文庫の優品〜生涯を古美術蒐集に捧げた精華〜 」展
 6月3日(土)、京都市左京区の細見美術館で「藤井永観文庫の優品展−生涯を古美術蒐集に捧げた精華」展の開催に先がけ、その前日の2日(金)に開催記念内覧会およびレセプションを行った。
 藤井永観文庫は、本学の文学部を卒業した故藤井孝昭氏(1913-83年)が収集したコレクション。日本や中国の拓本など約420点からなる。藤井氏の没後、遺族が(財)藤井永観文庫を設立し、美術品を所蔵してきたが、財団解散に伴い、所蔵品が立命館に寄贈された。
 コレクションの内容は、宸翰(しんかん)、墨跡(ぼくせき)・古筆(こひつ)・古文書(こもんじょ)、経巻(えまき)など、多方面に及び、時代も平安時代末から明治初頭にまでと広範囲に渡っている。この中には重要文化財5点、重要美術品2点も含み、美術・工芸品としても、そして研究対象としても非常に価値に富んだものとなっている。
 過去には、立命館大学アート・リサーチセンターを中心に、藤井永観文庫を対象とした展覧会も開催し、また研究プロジェクトも組まれた。
 開催記念レセプションでは、主催者挨拶として細見良行・細見美術館館長、長田豊臣・立命館総長が挨拶。そして、関係者・来賓として、藤井八重氏および藤井慶氏を紹介。若林洋夫・常務理事が乾杯の発声を行い、関係者・来賓の方々への感謝とともに、この展示会の成功を願った。
 会期は、6月3日(土)〜7月2日(日)で月曜日休館。時間は午前10時〜午後6時。入館料は一般1,000円、学生800円。本学の学生・教職員は無料となっている(学生証・教職員証の提示が必要)。招待券が必要な場合は、人文・社会リサーチオフィスまで。(075-465-8224)

■「藤井永観文庫の優良品展−生涯を古美術蒐集に捧げた精華」展のHPはこちら


庶民に愛され続けた上方音楽・地歌の魅力 地歌はおもしろい!
日 時
2006年5月16日(火) 18:30〜
会 場
京都府立府民ホールアルティ
主 催
京都和文華の会
後 援
真如苑
共 催
立命館大学アート・リサーチセンター
社団法人京都デザイン協会/NPO法人京都文化企画室/NPO法人檜の会
内 容

 地歌とは、三味線の伝来とともに上方を中心に発展してきた弾き歌いによるお座敷音楽です。上方舞でもよく取りあげられ、耳にする機会も多いのですが、その歴史や特質などはあまり知られていません。「日本伝統音楽の魅力を探る」レクチャーコンサートの第1回目は、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授の久保田敏子氏の解説と斯界の第一人者菊原光治師に演奏で、地歌の魅力をわかりやすく伝えます。

[ 地歌はおもしろい! 解説と実演概要 ]

演奏 菊原光治 (助演:菊央雄司 菊萌文子)
解説 久保田敏子 (京都市立芸術大学 日本伝統音楽センター教授)
司会 笠谷和比古 (国際日本文化研究センター教授・伝統文化芸術総合プロジェクト代表)


「科学としての美術批評」プロジェクト講演会 『エドワード・ホッパーと映画』
日 時
2006年4月17日(月) 15:00〜17:30
会 場
立命館大学アート・リサーチセンター2F 多目的ルーム
主 催
立命館大学アート・リサーチセンター
内 容

 20世紀アメリカ美術研究の第一人者、ゲイル・レヴィン教授(City University of New York)による講演会「エドワード・ホッパーと映画」が開催されます。エドワード・ホッパー(1882−1967)の油彩画は、都会の街並みを静寂で孤独な空間として描写し、その作品は平面的構成と光による独特の表現に定評があります。今回の講演では、当時のアメリカやフランス映画のホッパーの絵画への影響と、ホッパーの作品から刺激を受けたヒッチコック、ヴェンダースなどの映画作品について論じられます。


オープン・COE合同プロジェクト研究発表会
日 程
2006/03/27〜2006/03/28

よみがえる映画『三朝小唄』の記憶 −地域文化と映画―
日時
2006年3月19日(日)13:00-16:15
会場
三朝町総合文化ホール
主催
鳥取県三朝町、立命館大学アート・リサーチセンター
協力
マツダ映画社
後援
NHK鳥取放送局、(株)新日本海新聞社、読売新聞鳥取支局、毎日新聞鳥取支局、朝日新聞鳥取総局、産経新聞鳥取支局、山陰中央新報社
内 容

[ 第一部 ] 13:00〜15:00 『三朝小唄』シンポジウム
13:00 開会の挨拶
13:05 「『三朝小唄』プロジェクト報告」 冨田美香(立命館大学文学部)
13:45 流行歌「三朝小唄」について 大西秀紀(立命館大学COE推進機構客員研究員)
14:00 地域文化と映画文化 川村健一郎(川崎市市民ミュージアム 学芸員)
14:15 『三朝小唄』ディスカッション 澤登翠、大西秀紀、川村健一郎、司会:冨田美香

[ 第二部 ] 15:15〜16:15 『三朝小唄』上映会
『三朝小唄』(1929 年、マキノ御室)復元版35mm 18 コマ/秒映写60 分      澤登翠弁士、ピアノ:村井音文、ギター:湯浅ジョウイチ(楽団カラード・モノトーン)

詳細はこちら


国際シンポジウム「データマイニング、仮想環境、オンラインコミュニティ」
 3月3日(金)、びわこ・くさつキャンパス(BKC)にて、21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」主催の国際シンポジウム「データマイニング、仮想環境、オンラインコミュニティ」を開催した。英語で実施された本シンポジウムは、国際産業工学特別コースの留学生らをはじめとした学内外の約60名が参加した。

 シンポジウムは、本研究のBKC拠点リーダーである八村広三郎情報理工学部教授によるプロジェクト概要紹介後、Louisville大学のMehmed Kantardzic教授、本学のVictor V. Kryssanov助教授、神戸大学の阿部重夫教授による招待講演、ならびにCOEメンバーによる研究成果報告3件が実施された。その途中にポストドクトラルフェローによるポスターセッションの研究成果報告も行われ、いずれも活発な議論が繰り広げられた。

 シンポジウムのHP(英文)はこちら(予稿集ダウンロード可)


「科学としての美術批評」研究会
日 時
2006年3月3日(金) 15:00〜18:00
会 場
立命館大学 衣笠キャンパス 修学館第1共同研究室
主 催
立命館大学 アート・リサーチセンター 「科学としての美術批評」プロジェクト
内 容

[ 報告者とテーマ ]
  大久保恭子(関西外国語大学助教授)「フランス近代の美術批評」
  川田都樹子(甲南大学教授)    「白樺派とブルームズベリー・グループ」
  要真理子(大阪大学講師)     「ロジャー・フライと美術批評」


「近世京都手工業生産プロジェクト」企画展開催
 1月30日(月)より、衣笠キャンパスにおいて、21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」主催、「近世京都手工業生産プロジェクト」企画展を開催している。「京焼と登り窯―伝統工芸を支えてきたものー」と題したこの展覧会は、京焼をめぐる様々な事柄を多面的に検討し、その成果をポスター展示で紹介している。

 この企画展は、陶土の問題、歴史的な問題、京料理との関係、五条坂の移り変わり、考古学的調査、職人(陶工・窯焚き)の思い、科学陶器の生産、備前焼との比較、登り窯を活用する試み、の9つのトピックに分類されており、それぞれについての詳細な調査結果が展示されている。
 またポスターの他に、登り窯の破片なども展示されている。昭和40年代まで使用されていた登り窯が今も残る京都市東山区の五条坂の様子や、「京焼」をめぐる様々な資料を展示しており、訪れた来場者は展示物に見入っていた。
 この企画展は2月16日(木)まで開催される。


「今、CMを読みとく -CM映像文化のために-」開催
 1月28日(土)、衣笠キャンパスのアート・リサーチセンターにおいて、立命館大学オープン・リサーチ・センター整備事業CMプロジェクト公開研究発表会「今、CMを読みとく -CM映像文化のために-」を開催した。
  CMプロジェクトでは、CM映像アーカイブを構築しながら、CM作品研究の手法の開拓に力を入れ、活発に研究会を開いている。

 今回はゲスト・スピーカーとして、「世界のCMフェスティバル」のプロデューサーであるジャン=クリスチャン・ブーヴィエ氏を招き、「『ガイジン』の起用法は、日本人の『元気度』を計る格好のバロメーター」と題し、外国人を起用した過去の有名なCMにおいて描かれてきた外国人のイメージがどのように変化してきたかについて講演を行った。
 例として、当初、ファッションブランド「ダンヒル」のCMにおいては、俳優アラン・ドロンに対する憧れと強圧的なイメージがCMの中に内在していたのに対し、1970年代中期からは、松下電器「クイントリックス」にみられる、<小男の日本人が大男の外国人に発音を指導する>という軽妙な構図とシチュエーションがお茶の間に受けるようになった。現代では、俳優レオナルド・ディカプリオが出演するトヨタ自動車のCMがナチュラルな視線で描かれていることなどから、これらのCMを通し、時代とともに移り変わってきた日本人が持つ外国人への眼差し、ひいては意識の変遷を指摘した。

 続いて、CMプロジェクトのメンバーによる研究発表が行われ、インテル、サントリー「伊右衛門」、月桂冠などTVでおなじみのCMを題材に、表現方法、ジェンダー、アート、エコロジーなど様々なテーマで論じた。

 CMプロジェクトHPはこちら


「京都・西陣織『正絵』の知られざる芸術性〜織物図案の伝統・折衷・創作〜」開催
 衣笠キャンパスにおいて、21世紀COEプログラム「アートエンタテインメント創成研究」主催、「近世京都手工業生産プロジェクト」企画展が開催された。「京都・西陣織『正絵』の知られざる芸術性〜織物図案の伝統・折衷・創作〜」と題したこの展覧会は、1月26日(木)から2月1日(水)まで開催された。

 正絵とは、織物制作にあたって図案家がデザインした織物図案のことである。工芸品の下絵として分類されるものであるが、その芸術性は高く評価されている。この正絵は、数十に及ぶ西陣織の製作工程の中で、最初に必要とされるものである。

 本展覧会ではアート・リサーチセンターが所蔵する正絵を、年代別に1〜4群に分類したものを展示し、その他にも日本人の文化形成に大きく影響を与えた平安文化、いわゆる「王朝文化」と、それを象徴するイメージの一つである「御所車」を取り上げていた。


21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」主催研究会
『デジタル技術の文化財復原への応用』
 1月16日(月)、衣笠キャンパスにおいて、21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」主催の研究会『デジタル技術の文化財復原への応用』を開催し、デジタル時代の考古学調査における多様な手法について、4名の講師より報告を行った。

 今回講演を行ったサイモン・ケイナー(Simon Kaner)氏は、日本の先史時代を専門とする考古学者で、アート・リサーチセンターと研究協力を行っているセインズベリー日本芸術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures)副所長でもある。講演では、『デジタル時代の考古学』と題し、イギリスのストーンヘッジ遺跡群をはじめとした先史時代の遺跡において、従来の調査方法にデジタル技術を加えることでより進化したフィールドワークの方法を豊富な事例とともに紹介した。

 また、文学部人文総合科学インスティテュートの河角龍典氏によって『4D-GISによる平安京バーチャル時・空間の構築』をテーマに、GISを作成したバーチャルな平安京の映像を紹介。立命館大学COE客員研究員の宮原健吾氏からは『コンプリート・アーカイブをめざして』と題し、これまで京都市埋蔵文化財研究所が集積した膨大な遺跡情報を解析し、古代の京都を考察した。

 最後に、同志社大学文化情報学部助教授の鋤柄俊夫氏より『予測する考古学−埋蔵文化財をめぐる情報環境−』をテーマに、実測的なデータや資料など埋蔵文化財をめぐる情報環境を考察し、総合的な歴史研究を提示した。

 会場に訪れた聴講者は、各報告者の発表に熱心に耳を傾けていた。


21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」国際公開講義 開催
 1月16日(月)、アート・リサーチセンターによる21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」の一環として、国際公開講義を衣笠キャンパスで開講した。全4回にわたるこの講義は、ロンドン大学SOAS教授であり、国際日本文化研究センター客員研究員でもあるアンドリュー・ガ−ストル氏を講師に迎え、”Chikamatsu and Kamigata Kabuki: Texts and Image”をテーマとしている。第1回の今回は、近松門左衛門の心中物について講義を行った。

 ガーストル氏はまず、近松門左衛門がどのような人生を送ったかについて、越前国(現福井県)の武家の子として生まれたとされ、その後京都に移り、1703年に「曽根崎心中」を発表し、劇作家としての地位を確立した、と説明した。

 次に、世話物と時代物についても言及された。時代物は過去の歴史を基にした作品であり、世話物は俗世の話を基にした作品である。また、世話物は、近松が作り出したジャンルであるといわれている。

 最後に、近松の代表的作品である、「曽根崎心中」と「心中天網島」について、「『曽根崎心中』も、『心中天網島』も一般人を主役としているが、『曽根崎心中』は若者の心中劇でまだ救いのある話であり、『心中天網島』は大人の心中劇でまったくの悲劇である」と両作品の違いを説明した。

 会場に訪れた聴講者は、熱心にガーストル氏の講義に耳を傾けていた。


立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」シンポジウム
『モーションキャプチャ技術と身体動作処理』
 1月13日(金)、衣笠キャンパスにて、立命館大学21世紀COEプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」シンポジウム『モーションキャプチャ技術と身体動作処理』を開催した。

 「京都アート・エンタテインメント創成研究」のうち、<舞踏のデジタルアーカイブプロジェクト>は無形文化財の保存と解析を研究テーマとし、光学式モーションキャプチャシステムの導入によって、能楽・日本舞踊など、さまざまな舞踊の身体動作の計測を行ってきている。最近では、身体動作の情報のほかに、生体信号・視線の動きも計測・記録することもスタートしている。

 今回のシンポジウムでは、プロジェクト全体の紹介とともに、八村広三郎情報理工学部教授の「舞踊のデジタルアーカイブ」の報告のほか、その他にも学内外の研究者より舞踊のデジタルアーカイブの可能性、特徴的部分・ポーズの抽出の試み等についてさまざまな報告を行った。

 また、特別講演として、東京大学 情報理工学系研究科知能機械情報学教授の中村仁彦氏、潟iックイメージテクノロジーの藤田義彦氏の講演が行われた。
 中村氏は講演の中で、人間の運動を計測するモーションキャプチャの技術と、解剖学的な視点を組み合わせることによって、体内の深部感覚を可視化することが可能になると説明、医療・スポーツ・情報学などの分野におけるあらゆる可能性を提示した。
 藤田氏は、SIMMと呼ばれる筋骨格モデル解析システムの構成、成り立ち、機能の概要などを豊富な事例とあわせて紹介した。

 会場にはさまざまな分野の参加者が集まり、各報告者の発表の後に、活発な意見交換・質疑応答が行われた。

 当日のプログラムはこちら

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