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NEWS LETTER
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【ISSUE.001】
GISによる京都バーチャル時・空間の構築
鳴滝乾山窒跡の発掘調査と焼成研究
京都アート・エンターテインメント創生研究の採択にあたって
このたび文部科学省が公募いたしました21世紀COEプログラムに、私たちのプログラム「京都アート・エンタテインメント創成研究」が応募いたしましたと ころ、幸いにも採択されるにいたりました。多くの教職員の参加を得て、長い期間に亙る議論の結果まとめあげられたのが本プログラムであり、その意味でも大 きな喜びとするところです。申請の中核となりました文学研究科史学専攻は、戦後の史学研究のなかでは、立命館史学とよばれるほど重要な位置を占めてまいり ました。とりわけ今回の申請内容と関わっていえば、日本文化史研究、芸能史研究の分野では中心的な役割を果たしてきたと、いささか自負しているところでも あります。また情報学分野では、94年にソフトウエアー研究センターの開設、02年の理工学部情報学科の定員増、そして04年には情報理工学部を設置すべ く準備を進めております。さらに1998年、学術フロンティア推進拠点の指定をうけたアート・リサーチセンターでは、京都文化・映像芸術・時間芸術を対象 に、情報科学技術を応用した研究活動、つまり人文科学の視点から有形無形の文化財をデジタルアーカイブし、先端的な成果をあげてきたましたし、GIS(地 理情報システム)分野もまた、これまでめざましい実績をあげているところです。
 こうした学内において蓄積されてきた数々の実績を基盤として、私たちは
 @立命館大学を日本文化研究、京都研究を希望する世界の研究者の研究拠点とすること。
 A世界最高水準の日本文化研究、京都研究の成果を、ネットワークコミュニケーション 技術のふる活用により、世界にむけ発信していくこと。
を今後の目標として掲げ、研究活動を展開していくべく研究計画をたて、21世紀COEプログラムに応募したわけです。
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知の枠組みの再構築 ー5つのコンテンツの研究ー
最初に本拠点形成の目的についてですが、人文科学(つまり京都学)に最新の情報学の手法や技術をとりいれて、知の枠組み自体の再構築を目指すことです。例えば人文科学に対しては情報学、情報学に対しては人文学、という異分野を通して従来の研究を問い直し、あるいは両者の融合を計ること、などであります。そのために主たる研究・分析対象を京都とすることにいたしました。京都が長い歴史のなかで培ってきた文化は、ローカルカルチアーであると同時に 日本文化を象徴するものであり、その意味で「京都学」は、普遍と特殊をつなぐ環の核を占めるものであります。それはグローバル化した世界のなかで、日本が「日本」のアイデンティティを確保するためのより所となるものと考えられます。これが京都学を機軸にすえる理由です。もちろん、立命館大学が京都に所在していることも理由の一つとなっていることはいうまでもありません。
次いでその特色と具体的な中身ですが、次の5つのコンテンツ研究を中心に研究を推進していきたいと考えております。
(1)宗教・思想学問史研究(2)典籍・文書・出版・デジタルライブラリー研究(3)伝統工芸・産業史研究(4)芸能史・舞台空間研究(5)産業・文化開発都市京都研究。これらのコンテンツ研究に共通しておりますのは、現場主義であり現物重視、つまり実証主義ですが、京都は周知のように文化・芸能に関わる現場を数多くもっている強みがあり、さらにはまたさまざまな職人文化が存在し、活発な活動が展開されております。
 こうした現場を基盤として、
(1)有形無形文化財のデジタルアーカイブ
(2)コンテンツ処理のための情報基盤、ネットワークシステムの構築と運用。
(3)GIS(地理情報システム)やゲーム・エンジンによるバーチャル時空空間ミュージアムの構築。
(4)サテライト研究室、研究センターなどの設置。
(5)海外からのマンパワーの確保など。
などを計っていきたいと考え、活動しているところですが、こうした研究活動を私たちは、
芸術・芸能・伝統産業などを含めた広義のエンタテインメント研究と位置づけております。
そしてそのエンタテインメントとは、情報学の成果を含みこんだものでもあるわけです。
 
若手研究者の育成 ー3つの目的ー
さて21世紀COEプログラムは、研究拠点の形成だけではなく、いまひとつ若手研究者の育成が大きな目的として掲げられております。この点につきまして は、まず@プロジェクト型教育システムの確立により、総合的なリサーチマネージメント能力をもった研究者の育成を計っていく予定であり、この方法は本年4 月に開設されます先端総合学術研究科でも追究されることになっております。次いで、A次世代オンラインゲームシステムをはじめとする新たな情報システムを 企画・研究・開発できる能力をもった情報学の研究者の育成を計っていくこと、さらにBこれからの情報技術者・研究者は、文化・芸術のマインドをもつ必要が あるとの認識のもと、豊かな文化的素養をもった技術者・研究者を育成することです。これらのことは、現在、設置を計画中でありますが、人文学科との連携を 密にした情報理工学研究科の教育のなかでも、検討されることになると思います。

 以上のような考えのもと、現在、私たちは「京都アートエンターテイメント創成研究」に関わる28のプロジェクトを設定し、活動を 展開してところです。これらの諸研究が円滑に展開してゆくためには、学内はもとよりのこと、学外の研究者の方々、京都地域の方々のご協力が不可欠です。な にとぞ、本研究の趣旨をご理解いただき、ご助言・ご協力をお願いして、ご挨拶とさせていただきます。

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