02 お染 久松

絵師:三代目豊国
落款印章:任好豊国画(年玉枠)
改印:申十改
出版年月日:万延1年(1860)10月
版元名:若狭屋与市
配役:お染…三代目岩井粂三郎、久松…十三代目市村羽左衛門
 
お染久松は、様々な作品の中で描かれるが、本図は、歌舞伎「お染久松色読販」の心中場を描いている。
浄瑠璃「心中翌の噂」では、 「夜櫻や隅田川原へ棹さして、舟の中には何とおよるぞ苫を敷き寝の梶まくら…」 とあり、台本には、 「爰にお染、お高粗頭巾にて、吹替への久松、頬冠りして相合傘にて立ち身。この形にて押し出す。」ともある。 

【翻刻】
「夕ぐれに ながめみあかぬ すみだがわ つきにふぜいはまつちやま 帆かけた船がみゆるぞへ アレ鳥(とり)が鳴(なく)鳥のなの みやこにめいしょがあるわいな
「きぬ/\になごりつきせぬれたどし じつにふたりがあくえんと四ッの袖を しぼるぞへ アレ鳥(とり)が 鳴(なく)かねがなるたがいの 浮名(うきな)がたつわいな