03足利頼兼 三浦高雄

絵師:三代目豊国 
落款印章:好にまかせ 七十九歳豊国筆 
判型:大判/錦絵
版元:近江屋久次郎 
改印:子二改 
配役:足利頼兼…二代目沢村訥升、三浦高尾…三代目沢村田之助
*この配役による上演は見つからない。

 題材は「伊達競阿国戯場」で、奥州仙台の伊達家で実際に起こった伊達家のお家騒動が物語のモデルとされている。足利頼兼は仙台藩第三代藩主伊達綱宗がモデルの架空の人物であり、三浦高尾は伊達綱宗に身請けされ、その後隅田川の中洲の三叉で高尾丸と名付けられた船の上から吊るし斬りにされ参殺されたという伝説がある実在の遊女である。今回は高尾の吊るし斬りの舞台を含む台本を見つけることができなかったため、この絵のシーンについて深く調査することは出来なかった。しかし、絵本番付からは「伊達競阿国歌舞伎」の一番目浄瑠璃の「高尾丸千潮の三股」の一場面をみつけることができ、頼兼と高尾の位置関係や、立ち振る舞いに共通点が見られることから、「浮名のたまづさ」の絵も高尾丸という船の上のシーンであるのではないかと考えられる。また、国周の「見立三福対」では「浮名のたまづさ」と配役が同じことと、一緒に描かれている歌から、「浮名のたまづさ」が高尾丸での高尾の吊るし斬りの場面であることも考えられる。