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2006年11月14日

●敦盛(あつもり)

一の谷の合戦で若い平敦盛を手にかけた熊谷次郎直実は、悔いて出家し、敦盛の菩提を弔おうと、再び須磨一の谷を訪れる。
そこへ笛の音が聞こえ、草刈の男たちが現れる。草刈の身に似合わぬ風流なふるまいと声を掛けた蓮生に、男たちは、「樵歌牧笛」と昔から言うように笛は草刈にふさわしく、そればかりか歌も器楽も舞も、みな同じこの世の人の風流な業ではないかと反論する。
その後一人の男を除いて、他の者は帰っていく。残った男は、自分は敦盛の縁故の者なので十念を授けてほしいと言い、蓮生がそのとおりにすると、男は、実は自分はあなたが日夜弔っている敦盛だと明かして姿を消す。
(中入)
蓮生が夜通しの回向を思い立ち、念仏を称えていると、敦盛の霊が甲冑を身につけたうら若い姿で現れる。二人は、以前は敵であったが今は互いに成仏を願う友であることを確認し合う。
敦盛は蓮生を前に、平家一門の悲しい都落ちの様子や、一の谷の合戦前夜に敦盛たちが城で歌舞に興じたさまを語って舞を舞い(中ノ舞)、その後敦盛が味方の舟に乗り遅れ、一人で熊谷との討ち合いに臨んだいきさつを語る。語りながら修羅の気分の昂じた敦盛の霊は、時めぐって今また熊谷に出会ったと、蓮生にいったん討ちかかるが、それでも弔いを続ける蓮生の姿に、やはり二人は敵ではなかったのだと思い直し、重ねて回向を頼み、去っていく。

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