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2007年01月14日

●せっしょうせき(殺生石)

 玄翁という修行者が奥州より都へ行く途中、下野国那須野ヶ原へやってくる。空を飛ぶ鳥が石の上で落ちるので、不思議に思っていると、里の女が現れ、この石は恐ろしい「殺生石」と呼ばれる石で、生き物を殺してしまうから、近づかないように忠告する。
 玄翁がわけを尋ねると、昔、鳥羽院に仕えていた玉藻の前という方が、王道を亡ぼそうとして天子を病気にしたが、化生のものであると見破られ、逃げてここにたどり着き、この場所で殺されたのであると語る。そして、自分は、その石魂(いしだま)であると明かし、夜になったら本性を現すであろうといって、石の中にかくれてしまう。
<中入>
玄翁が供養していると、殺生石は二つに割れて、野干が現れ出る。自分は、天竺・中国・日本を股にかけて悪事をはたらいた老狐であり、安倍泰成の祈祷に調伏せられて空を飛んで那須野に隠れ住んだが、その後も、三浦介や上総介に那須野を狩り尽さされ、ついには射伏せられて、命を失ったものである。
その後も、多年にわたり、人を殺してきたが、今回、有難い供養を受けたので、今後はけっして悪事は働かないと約束して、消え失せる。

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