略 歴

リチャード・ビーチャム
Richard C. Beacham
1973年、エール大学博士号(芸術)取得。王立技芸協会会員。
専門は、演劇史・劇文学・劇作法(ドラマツルギー)。
19世紀のヨーロッパで、舞台上での演出の必要性、舞台装置の改革と舞台照明の重要性を唱えたスイス人、アドルフ・アッピア(Adolphe Appia [1863-1926])に関する研究書やローマ帝国初期の戦車レースや剣闘士等のスペクタクル・エンターテイメントに関する本を出版している。他に、デジタル版を含む論文も多くある。
また、助成金により、ローマ時代の劇場・別荘に関する3Dモデルを多数作成、その一部はオンライン上で発表されている。
■ 主な著作
1987: Adolphe Appia. Theatre Artist, Cambridge University Press.
1989: Adolphe Appia. Essays. Scenarios and Designs, U.M.I. Research Press.
1992: The Roman Theatre and its Audience, Harvard University Press.
1993: Adolphe Appia: Texts on Theatre, Routledge Press.
1994: Adolphe Appia. Artist and Visionary of the Modern Theatre, Harwood Press.
1999: The Spectacle Entertainments of Early Imperial Rome, Yale University Press.
2006: Adolphe Appia. Kunstler und Visionar des Modernen Theaters, Alexander Verlag.
In Press: Living Theatre: Roman Theatricalism in the Domestic Sphere, Co-author Hugh Denard, Yale University Press.
■ コメント
KVL(King's Visualisation Lab)の同僚とともに、関係分野で活躍されている先生方に私達の研究成果を発表できること、また、他国での重要な研究調査を見聞・意見交換できる今回の機会をよろこんでおります。DH-JAC2009を機会に、ますます研究者、研究拠点の提携を密接なものにし、将来的に魅力ある有望な共同の研究プロジェクトが行えるようになることを大いに期待しています。
要 旨
「過去の未来 −コンピュータ・ベースの文化遺産研究の新展開」
今回の発表では、キングスカレッジのヴィジュアライゼーション・ラボ(KVL)が海外連携機関と協力して行った最近のプロジェクトの成果を中心に論ずる。これは、文化遺産研究を具現化し、研究自体を可能にするヴァーチャルな物体・建築物を作成する試みで、複数ユーザーによる同時オンライン環境、セカンドライフ・ヴァーチャル・ワールドの教育的利用も目指したものである。現在進行中のプロジェクトには、「シアトロン3(Theatron 3)」があるが、これは、歴史上重要な25の劇場建築とその装飾を、それに相応しい背景・舞台衣装・演技動作も含め、再現するものである。この他、KVLのプロジェクトには、メルボルン大学との協力による考古学調査を基にした「(ポンペイ近郊の)オプロンティスのローマ風別荘」(これは、高度なデジタル3Dモデルとセカンドライフの両ヴァージョンで作成中)や、「ポンペイの劇場」(ヴァーチャルな演技の描写を含む)などがある。
